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2012年10月13日 (土)

アレクシア女史、欧羅巴(ヨーロッパ)で騎士団と遭う (ゲイル・キャリガー)

「英国パラソル奇譚」シリーズ第3巻。2巻のラストで、アレクシアの懐妊を知ったマコン卿は(人狼に繁殖能力がないことを理由に)アレクシアが不貞を働いたと断じて彼女を追い出したのです。アレクシアは泣き寝入りするような女じゃないので、身の潔白を晴らすべく、男装の発明家ルフォー、執事フルーテ、役者タンステルと探求の旅に出ます。しかし、その前に会いたかった吸血鬼アケルダマ卿は屋敷から逃げ出した後だった。手掛かりは一体どこに?
  1. ルーントウィル家の令嬢がたが目下の醜聞に対応すること
  2. マコン卿と小型キュウリの関係
  3. アレクシア女史、昆虫学に手をそめる
  4. 紅茶と侮辱
  5. アイヴィ・ヒッセルペニーとライオール教授の重責
  6. タラボッティの名のもとに
  7. 吸血鬼がやっかいなのは
  8. 嗅ぎタバコとキンカンと除霊による試験
  9. アルプス越えをせずにすむ方法
  10. アレクシアが無口なイタリア人に干渉すること
  11. アレクシアがペストと謎の壷に遭遇すること
  12. テムズ川底の巨大なスコッチエッグ
  13. テンプル騎士団とのピクニック
  14. チビ迷惑がますます迷惑になること
  15. テントウムシ救援隊
  16. アルノ川の橋の上での熱い再会

原題の"Blameless"は「非難の余地のない」「清廉潔白な」という意味。これはアレクシアのことでしょうね。表紙絵のアレクシアの表情は明らかに怒っています。

先日読んだラノベ『俺はまだ恋に落ちていない』では姉妹の仲が悪く、悪口を言い合ってばかり。そう、ただの悪口なんです。同じ毒舌でもアレクシアの方がユーモアがあります。たとえば、醜聞が広まったロンドンのカフェでアレクシアはある婦人に非難されます。
婦人「よくもわたくしたちの前を歩けるものね」
アレ「あたくしは座ってると思うけど」
婦人「夫君の足もとにひれ伏し、許しを乞うべきでは?」
アレ「夫の足のなにをご存知ですの?」
婦人「頭がよくて、前途有望で、引く手あまたのルーントウィル家のお嬢さんたちの将来が、あなたの軽卒な行動のせいで台なしになるかも」
アレ「妹たちはあれこれ非難されてますけど”頭がいい”と言われたことだけはありませんの。これを聞いたら侮辱だと思うんじゃないかしら」
婦人「テムズ川にでも身を投げるべきよ」
アレ「あたくしは泳げますのよ。しかも、かなり上手に」

この3巻はこれまででいちばん面白かった。理由は、色情魔マコンがほとんど登場せず、アレクシアが活躍するから。イギリスからフランス、イタリアへ、吸血鬼に命を狙われながらの大冒険は読み応えがあります。

アレクシアは "Soulless"(魂をもたない)ですが、彼女の言動を見る限り、なにかが欠けているようには思えません。それどころか非常に感情の起伏が激しい。彼女はお腹の赤ん坊のことを「チビ迷惑」と呼びますが、次第に憎からず思うようになっていく様子が微笑ましい。完結する5巻には子供が産まれるのでしょう。今から楽しみです。

お勧め度:★★★★☆

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