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2012年10月

2012年10月31日 (水)

黄色い目の魚 (佐藤多佳子)

「しゃべれどもしゃべれども」が面白かったので、佐藤多佳子の2冊目として「黄色い目の魚」を手に取ってみました。この人は心理描写が上手い。子供から大人への過渡期、気持ちが揺れ動き、人との関わりの中で少しずつ変わっていく様子を巧に描いて見せてくれます。

「好き嫌いが激しい」という言葉があるけれど、村田みのりは「好き」がなくて「嫌い」ばかり。高校でも、なにもかも、誰も彼も気に入らなくて絶交してばかり。自宅にも居場所がなくて、唯一くつろげるのが、イラストレーターの叔父の自宅兼アトリエ。一方、同級生の木島悟は、サッカー部のゴールキーパーを務める傍ら、授業中も絵を描いている変わり者。悟は父親を知らずに育ち、10歳のときに初めて逢って、絵を描くのが好きだったことを知り、その後死別。ある日、美術の授業で、悟がみのりの顔を描いたことがきっかけで互いに惹かれていったのです。

悟は人物画を描くのが好きなのですが、それは似顔絵ではありません。顔を似せるのではなく、その人物像というかキャラクターの輪郭を読み取ろうとするのです。みのりは特に美人ではないけれど、まっすぐな気性が絵に現れると「きれいな人」になるのです。

しかし、悟は早熟なのか、10歳でひとりで父親に会いに新宿まで出かけていくし、高校では当たり前のように酒を飲むし、そのうえ…。

ふたりの若者が出会ったことで、自分たちを縛っていた大人から解き放たれ、自らも大人へと成長していく物語。大学生の息子たちにも勧めたい1冊です。

お勧め度:★★★★★

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2012年10月29日 (月)

しゃべれどもしゃべれども (佐藤多佳子)

落語家・今昔亭三つ葉は前座よりひとつ上の二ツ目の26歳。テニススクールでインストラクターをしている従兄弟の良が吃音が再発して困って「噺家だろ。僕に話し方を教えてくれよ」。そこに、無愛想で人付き合いが苦手な十河五月(通称・黒猫)、元野球選手・湯河原太一、頑固ないじめられっ子の小学5年生・村林優が加わって、三つ葉の落語教室が始まります。

先入観なく、気軽に手に取った1冊。さすが噺家が主人公。テンポよく軽快な語り口が気持ちいい。短気で鈍感なのも江戸っ子らしくていい。これはいい。久しぶりに泣いて笑って楽しめる小説を読ませてもらいました。400ページを超える長編小説ですが一気読みです。

村林くんは大阪から東京へ転校してきても大阪弁で通していて、クラスのボス宮田に目をつけられイジメに遭います。それでも「これは喧嘩だ」といって一歩も引かない村林。体育で野球があるので、宮田の球を打とうと湯河原にバッティングを習う村林。最後は上方落語版「まんじゅうこわい」を、宮田たちを呼んで聞かせようという話になります。

小学生が関西から東京へ転校すると、東京言葉はきつく聞こえるので、みんな意地悪に感じてしまいます。ただ、なにかひとつでいいから「お、あいつもなかなかやるじゃん」と思わせるものがあれば、すっと懐に入ることができるのです。誰かひとりでもいいから認めてもらうことができれば、自分に自信を持つことができる。それは生きる上でとても大切なこと。

ラストシーンは井の頭公園での恋の予感。ぶきっちょな二人の人生に幸あれ!

お勧め度:★★★★★

2012年10月27日 (土)

風の市兵衛 (辻堂魁)

旗本の主人と御家人の妻が神田川に身投げ。町方は、殺されてから川に放り込まれたものと睨むが、武家の探索は目付のお役目。上司から探索中止を命じられます。一方、渡り用人・唐木市兵衛は相対死した旗本高松家に雇われ、帳簿を調べるうち、不審な金の動きに気づいて…。
  1. 算盤侍
  2. 神田川心中
  3. 酔生夢死
  4. 血と涙
  5. 陰間
  6. 二つの国

偽装殺人だということは早い段階でわかってしまうため、薄っぺらなストーリーにならないかと不安だったのですが、意外や意外、なかなか楽しませてくれました。

「風の市兵衛」はシリーズ化されているので2巻以降も読んでみたいと思います。

お勧め度:★★★☆☆

2012年10月25日 (木)

風待ちの人 (伊吹有喜)

『四十九日のレシピ』の作者の本の中から1冊手に取ってみました。

39歳、アラフォーの男と女が出会うところから始まります。エリート銀行員の男が心を病むことがなければ、出会うことのなかった女、それがペコちゃん。キンコとも呼ばれてる。

舞台は海辺の町。和歌山か三重か。買い物に「松阪まで出ようか」という話が出るくらいだから尾鷲あたり?

会社を6週間休んで、休養を兼ね、亡くなった母親の家を(処分するまえに)整理しようと美鷲にやってきた哲司。ファーストフードを買い出しにクルマで出かけた帰りに、ひょんなことから、妙なオバチャン(喜美子)を拾ったのです。彼女は世話好きというか、おせっかいな性格らしく、家の片付けを気にするのです。庭の手入れをする代わりにクラシック音楽を教えてほしいという彼女。

家庭を失いかけている男と、家族を亡くした女。なかなかヘビーな話です。でも、病んだ心を抱えながらも、人のぬくもりに触れることで、すこしずつ癒されていき、つぎの一歩を踏み出そうとする。

がむしゃらに頑張ってきて、気がついたら心を折れそうになっている大人に読んでほしい。

お勧め度:★★★★☆

2012年10月23日 (火)

うさぎパン (瀧羽麻子)

『左京区七夕通東入ル』の瀧羽麻子のデビュー作。小中と女子校だった優子が、共学の高校に進学。父親は海外に単身赴任、母親とは死別、継母と暮らす優子が、同じクラスの富田と「パン好き」という共通点があることがわかって…。

ほんわかとした、軽く読めちゃう青春小説です。「左京区」は主人公が大学生だけど、こちらは高校生。あとで思えばたいして年齢も違わないのだけれど、小説にすると高校生はずいぶんと子供に思えてしまいます。

お勧め度:★★★☆☆

2012年10月21日 (日)

左京区恋月橋渡ル (瀧羽麻子)

                         
『左京区七夕通東入ル』の続編。といっても主人公は「花」ではなく、学生寮に暮らす、工業化学科大学院生・山根。気分転換に訪れた下鴨神社で、雨に降られて困っている一目惚れ。傘を渡して慌てて帰ってきたのですが、ぼんやりと様子がおかしい山根を見た花が「好きな人でもできた?」と看破。花は「もう一度姫に逢いたければ、下鴨神社に日参すべし」。
      
      前作よりもすんなり一気読みしてしまいました。京大理系男子って、女性と「お茶を飲む」といっても学生寮のやかん、学食のお茶、研究室のポットしか思いつかないのでしょうか。店に行けばいいと思いついても、ラーメン店か居酒屋とは…。喫茶店などとは無縁な人生が可笑しくも切ない。
      
      鴨川、下鴨神社、糺の森、上賀茂神社、京都御苑、百万遍、出町柳、吉田神社、銀閣寺といった、おなじみの場所が舞台となっていて、物語をリアルに感じることができます。余談ですが、先日、大阪の観光スポットを調べていたのですが、いまさら大阪城や通天閣でもないし(わたしの出身地だからか)行ってみたいところがほとんどありません。それに比べると京都は魅力的。神社仏閣だけでなく、細い裏道にも雰囲気があって、散策する楽しみがあります。
      
      山根くんは姫と再会することはできるのか。姫とは一体どこの誰なのか。葵祭や大文字焼きといった京都の風物詩をバックに、不器用な、やさしい恋物語が描かれます。ラノベを卒業したら、まず村山由佳の「おいしいコーヒーのいれ方」シリーズ。次に、瀧羽麻子の「左京区」シリーズを読みましょう。
      
      お勧め度:★★★★★

2012年10月20日 (土)

株式会社ネバーラ北関東支社 (瀧羽麻子)

京都(京大)を舞台にした『左京区七夕通東入ル』が面白かったので、著者・瀧羽麻子つながりで今作を手に取りました。東京で証券会社に勤め、仕事にも恋にも全力投球していた弥生28歳。いずれ結婚すると思っていた彼から突然の別れ話を切り出され、東京から離れようと転職した先が「北関東の納豆メーカー」だったのです。

経営企画部に配属されたものの、じつは下請けメーカーなので自社ブランドは持たないのです。ですから発注元に提案をするのですが、意地悪な担当者に邪見にされ怒る弥生。東京で消耗した心と身体を癒しつつ、新たな恋の予感も…?

仕事で本気を出すのかと思ったら、最後まで充電モード。波風の少ない日常が続いて、まったり、気楽に読むことができました。殺伐とした小説(佐伯泰英の新・古着屋総兵衛シリーズとか)の合間に読むのにお勧めです。

お勧め度:★★★☆☆

2012年10月19日 (金)

左京区七夕通東入ル (瀧羽麻子)

                         
また京都大学を舞台にした小説を見つけました!
      
      書店でタイトルを見て、七夕通なんて聞いたことないけど「左京区」というのが気になったのです。裏表紙をみると、数学が大の苦手の、文学部4年女子大生が理学部数学科の男の子に恋する話らしい。冒頭をすこし読んでみたら、その娘は鴨川の近くに住んでいて、大学まで自転車で10分。出町柳から近道をするなら京大では? キャンパスは北と中央、南に分かれていて、という下りで確信して「これ、ください!」。帰ってネット検索したら作者はやはり京大卒でした。
      
      京大、京大生といえば、これまでは万城目学と森見登美彦だったのですが、今回は瀧羽麻子という女性作家。女らしいタッチで文系女子と理系男子の恋を描いていて、ほんわかとしたムードが京大生に似合わず(笑)面白かった。ほんとうは女性向きの小説だと思いますが、京都の街が思い浮かんで楽しめました。
      
      主人公は文学部4回生の花。すべては七夕の朝のブルーベリーから始まります。合コンで出会った龍彦(たっくん)は理学部数学科。学生寮に暮らし、携帯電話も持っていない。それでも寮の友人達の「タコパ」に誘われ、徐々にたっくんに惹かれていく花。(タコパ=たこ焼きパーティ)
      
      理学部男子と付き合う女性にとって、敵は数学だったり大腸菌だったり、爆薬だったり遺伝子だったり。研究にのめり込むと回りが見えなくなって、食事もしないから栄養失調で倒れたり。
      
      花は就職先は決まっているものの、3月には住み慣れた京都を離れ、友人たちとも別れる寂しさや、未知の社会に身を投じる不安で心が揺れ動きます。まだ自分が確立していない学生だけど、懸命に生きようとする姿が素敵です。
      
      京大の寮と聞くと『百万遍 古都恋情』上巻 (花村萬月)のように怪しげな雰囲気を想像してしまいますが、そこは作者のフィルターでカットされているので安心して読めます。姉妹編『左京区恋月橋渡ル』も出ているそうなので読んでみようと思います。
      
      お勧め度:★★★★★

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2012年10月17日 (水)

百年の呪い 〜 新・古着屋総兵衛 2 (佐伯泰英)

ダークファンタジーならぬ、ダーク時代小説。『居眠り磐音 江戸双紙』シリーズにも、卜師というか呪術紙のような雹田平なる唐人が登場しますが、この『新・古着屋総兵衛』ではそんなのばっかり。磐音では田沼意次、総兵衛では柳沢吉保。歴史上の権力者を敵にして、暗闘ものにしてしまうのが常套手段なのかしらん。

このシリーズは残念ながら、わたしの好みには合わないようです。

2012年10月16日 (火)

血に非ず 〜 新・古着屋総兵衛 1 (佐伯泰英)

鶴舞図書館で1〜2巻を見つけたので借りてきました。古着屋総兵衛のなにが「新」でなにが「旧」なのかは不明です。

「必殺仕事人」みたいな血なまぐさい世界です。そういえば「鎌倉河岸捕物控」シリーズでも古着屋の話は出てきました。江戸の町に夜盗が跳梁跋扈して困った家康が、盗賊の頭目を捕え「夜盗を江戸から一掃したら、古着屋の鑑札と土地を与えよう」と約束したとか。つまり、表向きは古着屋大黒屋、裏では将軍家の影仕事を請け負う仕事人!

しかし、大黒屋はいまではお庭番衆を敵に回している状態。大黒屋にあだなすものは「殲滅」するという乱暴さ。これは十代目宗五郎(政次)が見過ごすはずがありません。双方を勝負させたら面白いのでは?

さて、物語は九代目総兵衛が死にかけているところから始まります。幹部が集まって十代目をどうするか思案するのですが、九代目は死の床で「血に非ず」と呟きます。直系の血筋でなくてもいいということ?

そんなに慌てなくても、じきに都合良く後継者が現れるに決まってます。ほら、来た! しかもベトナムからイカサマ号に乗って。あ、イマサカ号でした。(失礼)

お勧め度:★★☆☆☆

2012年10月15日 (月)

退屈姫君伝 (米村圭伍)

退屈したヤンチャ姫がいたずら三昧という、面白そうなお話なので読み始めたら、児童書のような文章に似合わず、かなり露骨な性描写。こんな時代小説は初めて。『しゃばけ』と同じ、柴田ゆうのイラストなのに…と思った方も多いのでは? 抵抗を感じつつも、なんとか読み終えました。

お決まりの悪党・田沼意次まで出てきますが、あっさり本人が登場すると軽くなってしまいます。でも、幕府の隠密やくノ一もみんな軽いからこれでよいのでしょう。

めだか姫が輿入れした先の小藩の江戸屋敷で、殿が国元に戻っている間、退屈した姫は藩の(七不思議ならぬ)「六不思議」を解くことに。謎解きというほどのことはありませんが、退屈を紛らすことくらいはできそう。続巻もあるようですが、あまり食指が動きません。

お勧め度:★☆☆☆☆

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2012年10月13日 (土)

アレクシア女史、欧羅巴(ヨーロッパ)で騎士団と遭う (ゲイル・キャリガー)

「英国パラソル奇譚」シリーズ第3巻。2巻のラストで、アレクシアの懐妊を知ったマコン卿は(人狼に繁殖能力がないことを理由に)アレクシアが不貞を働いたと断じて彼女を追い出したのです。アレクシアは泣き寝入りするような女じゃないので、身の潔白を晴らすべく、男装の発明家ルフォー、執事フルーテ、役者タンステルと探求の旅に出ます。しかし、その前に会いたかった吸血鬼アケルダマ卿は屋敷から逃げ出した後だった。手掛かりは一体どこに?
  1. ルーントウィル家の令嬢がたが目下の醜聞に対応すること
  2. マコン卿と小型キュウリの関係
  3. アレクシア女史、昆虫学に手をそめる
  4. 紅茶と侮辱
  5. アイヴィ・ヒッセルペニーとライオール教授の重責
  6. タラボッティの名のもとに
  7. 吸血鬼がやっかいなのは
  8. 嗅ぎタバコとキンカンと除霊による試験
  9. アルプス越えをせずにすむ方法
  10. アレクシアが無口なイタリア人に干渉すること
  11. アレクシアがペストと謎の壷に遭遇すること
  12. テムズ川底の巨大なスコッチエッグ
  13. テンプル騎士団とのピクニック
  14. チビ迷惑がますます迷惑になること
  15. テントウムシ救援隊
  16. アルノ川の橋の上での熱い再会

原題の"Blameless"は「非難の余地のない」「清廉潔白な」という意味。これはアレクシアのことでしょうね。表紙絵のアレクシアの表情は明らかに怒っています。

先日読んだラノベ『俺はまだ恋に落ちていない』では姉妹の仲が悪く、悪口を言い合ってばかり。そう、ただの悪口なんです。同じ毒舌でもアレクシアの方がユーモアがあります。たとえば、醜聞が広まったロンドンのカフェでアレクシアはある婦人に非難されます。
婦人「よくもわたくしたちの前を歩けるものね」
アレ「あたくしは座ってると思うけど」
婦人「夫君の足もとにひれ伏し、許しを乞うべきでは?」
アレ「夫の足のなにをご存知ですの?」
婦人「頭がよくて、前途有望で、引く手あまたのルーントウィル家のお嬢さんたちの将来が、あなたの軽卒な行動のせいで台なしになるかも」
アレ「妹たちはあれこれ非難されてますけど”頭がいい”と言われたことだけはありませんの。これを聞いたら侮辱だと思うんじゃないかしら」
婦人「テムズ川にでも身を投げるべきよ」
アレ「あたくしは泳げますのよ。しかも、かなり上手に」

この3巻はこれまででいちばん面白かった。理由は、色情魔マコンがほとんど登場せず、アレクシアが活躍するから。イギリスからフランス、イタリアへ、吸血鬼に命を狙われながらの大冒険は読み応えがあります。

アレクシアは "Soulless"(魂をもたない)ですが、彼女の言動を見る限り、なにかが欠けているようには思えません。それどころか非常に感情の起伏が激しい。彼女はお腹の赤ん坊のことを「チビ迷惑」と呼びますが、次第に憎からず思うようになっていく様子が微笑ましい。完結する5巻には子供が産まれるのでしょう。今から楽しみです。

お勧め度:★★★★☆

2012年10月11日 (木)

アレクシア女史、飛行船で人狼城を訪う (ゲイル・キャリガー)

日本では「英国パラソル奇譚」というシリーズ名がついていますが、原作は全5巻。"Soulless" "Changeless" "Blameless" "Heartless" "Timeless" というように "...less"シリーズになっています。この第2巻の "Changeless"というのは、変身できなくなる「人間化現象」を指しているのでしょう。

反異界族のアレクシアが直接触れたわけでもないのに、人狼や吸血鬼が一斉に人間に戻ってしまう現象が起きます。人間に戻っている間は年を取るし、怪我もすぐには治らないし、簡単に死んでしまいます。大げさにいえば種族存亡の危機。悪用すれば異界族に対する武器となります。これは伝染病か、化学兵器か…異界族に嫌疑をかけられたアレクシアは原因を探るべく、単身スコットランドに向かったのでした。

といいたいところですが、友人のアイヴィと異父妹フェリシティ、夫の部下タンステルがアレクシアの足を引っ張ります。ゲームでいえばお邪魔キャラ。ドバタバを演じることしかできないため、かなり目障りです。

007の秘密兵器みたいに強化されたパラソルが「殴る」以外にどんな活躍をするのか楽しみだったのですが、機能がわかりづらく、あまりパッとしませんでした。
  1. 何かが消え、アレクシアがテントに立腹し、アイヴィが報告する
  2. 人間化病
  3. 帽子の買い物といくつもの困難
  4. パラソルの正しい使い方
  5. アケルダマ卿の最新機器
  6. 婦人選抜大飛行会
  7. 怪しいタコと飛行船のぼり
  8. キングエア城
  9. メレンゲがこなごなになること
  10. エーテル通信
  11. 主任サンドーナー
  12. 大解包
  13. フランスの最新流行
  14. 変身

しかし「人間化現象」の原因については納得できるものでした。

これで一件落着と思いきや、最後の最後にアレクシアにかけられた嫌疑。これをどうやって解くのか、気になります。

お勧め度:★★★☆☆

2012年10月 9日 (火)

アレクシア女史、倫敦で吸血鬼と戦う (ゲイル・キャリガー)

ユーモラスなファンタジーが読みたくなって手に取ってみました。

タイトルの「吸血鬼と戦う」のは冒頭シーンのことですね。「吸血鬼」と戦争するわけじゃありません。原題は「SOULLESS」。つまり「魂なし」。魂を持たない人間は「反異界族」と呼ばれ、吸血鬼、人狼、ゴーストなどの「異界族」の力を無力化するのだとか。

魂を持たない主人公アレクシア・タラボティは感情がないのかと思いきや、イタリア人の血を引く、かなり、非常に、とっても強情で強気で勝ち気な26歳。冒頭から彼女は退屈しています。「涼宮ハルヒ」を思い出します。他人の言うことを聞かず、我が道を往く点は似ています。
  1. パラソルが役に立つ理由
  2. 予期せぬ招待
  3. われらがヒロイン、よき助言に耳をかたむける
  4. われらがヒロイン、よき助言を無視する
  5. アメリカ人との晩餐
  6. 科学者と馬車に乗り、伯爵とたわむれること
  7. ぶつ切りレバーの前で明かされた真実
  8. 裏庭での悪ふざけ
  9. 人狼の食欲の問題
  10. 公共の福祉のため
  11. 機械に囲まれて
  12. ただの人狼
  13. 突き当たりの部屋
  14. 王室の介入

こうして目次を眺めてストーリーはさっぱりわかりませんな。要するに、スコットランド出身の、人狼団のボス・マコン卿と、アレクシアのラブコメです。

お勧め度:★★★☆☆

2012年10月 8日 (月)

現代語裏辞典 (筒井康隆)

一般の国語辞典と比べると、かなり偏っているし、下ネタが多く、お世辞にも上品とは言い難い。しかも、語句の意味ではなく、感想や意見、ダジャレもあって、もうなにがなんだか…。

ただ、そのなかにあって、至極まっとうな解釈もあります。たとえば、

せいとう【政党】議員がおおまかに色分けされた末に個性をなくしていく組織
せんかくしょとう【尖閣諸島】出かけて行きさえすればいつでも戦争ができる島
ちゅうごく【中国】広い領土を持ちながら何故に欲しがる尖閣諸島

その一方で、

せっく【節句】タンゴを踊る日
スニーカー【sneaker】殉職
せいうち【海象】ポール・マッカートニー

といった、ダジャレや芸能ネタもありますし、

ぶんえん【分煙】一本の煙草を何人かで吸うこと
ぶんつう【文通】文による密通
へいえき【兵役】若者いじめの制度

という「おいおい」と突っ込みたくなるのもあります。

きれいごとでは済ませない、人間の本音を斬って見せる辞典です。シャレのわかる方にお勧めします。

お勧め度:★★★☆☆


2012年10月 6日 (土)

俺はまだ恋に落ちていない 2 (高木幸一)

高校の後輩・道から詠羅を紹介してほしいと頼まれ、断れなかった赤井公。誰もがため息まじりに「あなたは馬鹿ですか?」 恵衣美に引き摺られる形で、ふたりの動物園デートを尾行していると、なぜか田所と空河までやって来て…ドタバタラブコメ全開!

恋に落ちているかどうかはともかく、お互いに好意を持っている娘を他人に紹介するという罪。どちらに対しても失礼です。元の鞘に収まるであろうことはわかっていても、不快感が付きまとう2巻でした。

それにしても、悪口雑言のボキャブラリーが豊富なお嬢様って一体なんなのでしょう?

お勧め度:★★☆☆☆

2012年10月 5日 (金)

俺はまだ恋に落ちていない (高木幸一)

大学1年の次男に「なにか面白い本ない?」と訊いたらこれを貸してくれました。

主人公は高2の赤井公。友人の田所から、ふたりの妹・恵衣美(高1)と詠羅(中3)を紹介されます。このふたり、顔を会わせれば壮絶な口喧嘩を始めます。悪口を超えて罵倒です。これじゃ恋に落ちるどころか引いてしまいます。ところが主人公は大雑把、いえ、おおらかな性格なので許せちゃうみたい。というわけで、姉妹との三角関係ラブコメです。

いい意味で「ライト」ノベル。軽くサクサク読めます。小難しい本を読んだあとの口直しにどうぞ!

お勧め度:★★★☆☆

2012年10月 3日 (水)

猫を抱いて象と泳ぐ (小川洋子)

作者を知らずに読み始めたら村上春樹かと思うところでした。それくらい「文学」してます。小川洋子は「博士が愛した数式」しか知らないから、ちょっと意外でした。「博士」が数学なら「猫象」はチェス。チェスの知識がなくても楽しめますが、チェスがお好きなら一層楽しいことでしょう。

「大きくなること、それは悲劇である」。百貨店の屋上に連れて来られた子象は、大きくなりすぎてエレベーターでも階段でも下りることができなくなって、一生を屋上で過ごしたというエピソードに始まり、隣家との隙間がわずかしかない自宅との壁に挟まって死んでしまった少女がいるとか、廃バスに済む「マスター」(チェスの指南役)は太り過ぎて外へ出ることができなくなったり、主人公は「大きくなること」に恐怖心を抱きつつ、チェス盤の下に潜ってチェスを指すのでした。

対戦相手と向かい合ってチェスを指すのではなく、チェス盤の下や、からくり人形の中に隠れて指すのが好きだし、集中できるという、一風変わった少年です。単に勝てばいいというチェスではなく「最強の手ではなく、最前の手を打つ」のを信条とし、チェスを芸術の域まで高めていくのでした。

コンピューターチェスとは対極にある世界を見せてくれたように思います。

お勧め度:★★★★☆

2012年10月 2日 (火)

人生を変えた時代小説傑作選 (山本 一力, 縄田 一男, 児玉 清)

自他ともに認める時代小説好きの三人が、“人生を変えるほどの衝撃を受けた”短篇小説を二篇ずつ選んだアンソロジー。

山本一力、縄田一男、児玉清の3人が”人生を変えるほど衝撃を受けた」時代小説(短編)を二編ずつ選びました。
  1. 菊池寛「入れ札」
  2. 松本清張「佐渡流 人行」
  3. 五味康祐「桜を斬る」
  4. 藤沢周平「麦屋町昼下がり」
  5. 山田風太郎「笊ノ目万兵衛門外へ」
  6. 池宮彰一郎「仕舞始」

いちばん面白かったのが「麦屋町昼下がり」。武家の女房が父に斬られそうになっているのを救うため、やむなく父親を斬った主人公。その女房の夫は藩内随一の剣客。江戸詰めから戻ってきたら殺られる。腕が立つと言われる老人に指南を乞うが、事態は思わぬ方向へ転がります。結婚相手を自由に選ぶこともできなかった時代の機微も興味深いです。

お勧め度:★★★☆☆

2012年10月 1日 (月)

東雲の空 ~ 居眠り磐音 江戸双紙 38(佐伯 泰英)

ようやく磐音たちは紀伊の隠れ里を後にし、京都、名古屋を経由して江戸に帰ってきます。小梅村にある今津屋の御寮に着くと「ビックリ」が待っていました。
  1. 橋上の待ち人
  2. 一同再会
  3. 霧子の迷い
  4. 挨拶回り
  5. 月命日

第38巻は、江戸に戻った挨拶まわりに終始します。おこんの啖呵を久々に聞くことができたのはうれしかったけれど、それで刺客が手を引くとは思えないし、もう似合いません。それに田沼意次との対決モードもここまで長引くと飽きました。

お勧め度:★☆☆☆☆☆

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