道場破り 〜 鎌倉河岸捕物控 9 (佐伯泰英)
政次が通う神谷道場に赤子を背負った女武芸者・永塚小夜が道場破りに訪れ、政次が打ち破る。破れた小夜は潔く道場を後にするが、一体なにが目的なのか…。
「鎌倉河岸捕物控」シリーズも9巻目。表題作の2話と3話をはじめ、これまででいちばん気に入りました。剣を振り回す話より人情話がいい。 お勧め度:★★★★☆ |
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政次が通う神谷道場に赤子を背負った女武芸者・永塚小夜が道場破りに訪れ、政次が打ち破る。破れた小夜は潔く道場を後にするが、一体なにが目的なのか…。
「鎌倉河岸捕物控」シリーズも9巻目。表題作の2話と3話をはじめ、これまででいちばん気に入りました。剣を振り回す話より人情話がいい。 お勧め度:★★★★☆ |
政次が宗五郎の養子になり、正式に十代目の跡継ぎとなります。その際、贈られたのが「銀のなえし」という十手の一種。宗五郎の金流しの十手と共に江戸の悪を討つ!
それはよいのですが…やはり、しほは政次の嫁になりそうな気配。順当すぎてつまらないと思うのは不謹慎でしょうか。 お勧め度:★★★☆☆ |
鎌倉河岸捕物控シリーズ第7巻を貫くお話は、松坂屋の隠居・松六夫婦が伊香保温泉に、金座裏のおみつ、豊島屋のとせ、しほも連れて湯治に行くというもの。川越に「里帰り」したとき同様、しほは旅の様子を徒然に描いていたのですが、一枚の絵を見た宗五郎が…。
タイトルどおり下駄貫が手柄を焦って単独行動の末、命を落とします。が、その死を乗り越えて政次は10代目宗五郎として若親分となります。どんなに忙しくても道場の朝稽古を欠かさず、腕が立つのに、つねに謙虚で余計な口をきかない、信頼できる人物なのでしょうが、どうも「出来過ぎ」の感が否めません。これでしほを嫁にしたら「出来過ぎ」の二乗です。 この作者の「居眠り磐音 江戸双紙」も好きなのですが、最初に磐音が故郷を出奔した仲間割れの経緯があまりに間抜けでありえない。さらに、置いてけぼりにした許嫁を探していたら吉原の花魁になってたなんて、これもありえない。小説はフィクションだから作者の妄想も自由ですが、所々どうしても納得できない、なじめない部分があるのです。気に入らなければ読まなければいいのですが、基本的には面白いので困るのです。 お勧め度:★★★☆☆ |
「山なれば富士、白酒なれば豊島屋」とうたわれる豊島屋の主・清蔵が引札(広告)を作ろうと立ち寄った引札屋のおもんに夢中に…。
あとがきにありましたが、1596年創業の豊島屋はいまもあるそうです。ホームページはこちら。 3話で、讃岐屋から火が出て、主夫婦が亡くなるのですが、ふたりは首を絞められた跡があるのです。当時、讃岐屋にいた8人を宗五郎が順に取り調べるというので、推理小説みたいだとワクワクしたのですが、尻すぼみにあっさり下手人に目鼻がついておしまい。 清蔵の浮気話がメインですが、5章が詐欺なだけで、他の1〜4章は殺人。相変わらず物騒なお江戸です。政次は剣客相手にも引けを取らないくらい上達しますが、豊島屋の庄太をいまだに「ちぼ」(掏摸)と呼ぶ亮吉の無神経さは、しほに叱られても変わりません。しほ、政次、彦四郎、亮吉の4人の主人公のうち亮吉だけ危なっかしい。大丈夫かなぁ。 お勧め度:★★★☆☆ |
鎌倉河岸捕物控シリーズ第5弾。江戸に開幕初期、移住してきた町人のことを「古町」と呼び、幕府に「御能拝見」に招かれる。それはつまり将軍にお目見えが許されるということで、その中に金座裏の宗五郎も含まれていた。その御能拝見が近づいてきて、宗五郎をはじめ古町町人たちが剣客に命を狙われる事件が相次いでいた。なんとしても御能拝見当日までに下手人を捕えねばならないのだが…。
今回の主人公は宗五郎です。1冊を貫く長編に、短編がいくつか織り込まれるというパターンが定着して、安心して読むことができます。亮吉に加えて、政次も金座裏に加わったわけですが、彦四郎も(現代でいえば)まるでお抱え運転手。どこへ行くにも堀や川を漕いでいきます。そして「しほ」はお抱え絵師。若い娘に死人の似顔絵まで描かせるのはどうかと思うけど…。というわけで4人の若者たちを巻き込んで宗五郎は江戸を駆け巡ります。 政次は道場に通って剣術の修行をしていますが、宗五郎はそんな時間はないみたい。それにしては剣客相手に勝るとも劣らぬ十手術を披露。ちょっと強すぎるのでは? 軽く読める捕物シリーズとしてお勧めします。 お勧め度:★★★☆☆ |
今回は、船頭・彦四郎が何者かに命を狙われます。一方、政次、亮吉、彦四郎のマドンナ「しほ」は川越の従姉妹・佐々木春菜の祝言に呼ばれ、高瀬舟で川越河岸へ向かったのでした。
「捕物控」ですから毎回、犯罪のオンパレード。殺人、強盗、詐欺、行方不明、狂言…といってしまえば、犯罪は今も昔も変わらないような気もします。通学中の子供たちが犠牲になる交通事故は江戸時代にはなかったでしょうけれど、逆に凶器といえば刃物が多く血なまぐさい。 血なまぐさいのは苦手なのですが、宗五郎には情けがあって、臨機応変な対応を見せてくれるから救われます。彦四郎を襲った犯人は、しほが川越から戻ってくれば見つかるだろうということは序盤でわかります。逆にいえば、しほはちゃんと鎌倉河岸に帰って来るわけで、安心して読めました。 お勧め度:★★★☆☆ |
「鎌倉河岸捕物控」シリーズ第3弾。宗五郎が守る幕府の御金座の手代・助蔵が斬り殺された。新しい小判の意匠に関わって京から戻ったところを斬られたらしいのだが、なぜか品川ではなく戸田川で死体が発見された。金座を狙う者があるのか…。宗五郎が動き出す。
このシリーズは、ひとつ大きな事件が起きて、それを調べるうちに他に小さな事件が絡んできて、最後にすべて決着するというパターンのようで、周到に構成を考えてあります。毎回主人公も入れ替わり、1巻はしほ、2巻は政次、この3巻は亮吉、そして次の4巻は彦四郎のようで、幼なじみの4人を一巡します。 十代目宗五郎を継ぐために金座裏にやってきた政次に対して割り切れない思いを抱えた亮吉が出奔するのですが…。白状しますと、跡継ぎにするほどの才能が政次にあるとは思えず、了見の狭い亮吉も好きになれません。ただ、今後の奮闘次第で見方が変わる可能性も十分あります。 お勧め度:★★★☆☆ |
「鎌倉河岸捕物控」シリーズ第2弾。政次は松坂屋の隠居・松六の年始まわりの供をするのですが、帰路、立ち寄ったあばら家で浪人に襲われ頭部を強打、記憶喪失に…。その事件の背後には若年寄田沼意知が殺された因縁が潜んでいたのです。
出ました、田沼意次!「居眠り磐音江戸双紙」では田沼に江戸を追われる磐音ですが、政次にとっては過去の人物。上記の目次にあるように、さまざまな事件が金座裏に持ち込まれますが、この2巻を通じて松六が襲われた事件が語られ、6章で決着をみます。余談ですが、4章の「ちぼ」というのは掏摸(すり)という意味です。 読みやすく、取っ付きやすくて、1巻完結。失礼ながら、他に読みたいものがないときのつなぎにはピッタリの時代小説です。現在19巻まで出ているので、すこしずつ読ませてもらいます。 お勧め度:★★★★☆ |
鶴舞図書館で「鎌倉河岸捕物控」というシリーズの1巻目が偶然あったので借りてみました。佐伯泰英が「居眠り磐音江戸双紙」より1年ほど早く出したもののようです。歯切れ良く、テンポよく進んでいく物語に思わず引き込まれました。 主人公は幼なじみの3人—呉服屋「松坂屋」の手代・政次、金座裏の宗五郎の手先・亮吉、船宿「綱定」の船頭・彦四郎—と、酒問屋「豊島屋」の看板娘しほ。
お勧め度:★★★★☆ |
「東京バンドワゴン」シリーズ第7弾のキーワードは「母の愛」だというのですが、どの話題を指すのか、いまひとつわかりません。 研人が先輩を殴った事件かな。ロック部の別のバンドのドラマーが我南人の 悪口を言ったから殴ったとか。怪我をさせたことは謝らなくちゃいけないということで決着したものの、研人は納得していない様子。翌日、母の亜美が研人と部活に乗り込んで、件のドラマーに啖呵を切ります。いやぁ、かっこいい! こういうの、好きです。
それにしても、サチおばあちゃんによる登場人物紹介が9ページ。いくら大家族とはいえ、多すぎます。前途多難だなぁ。 お勧め度:★★★☆☆ |
『君と会えたから』『手紙屋』を長男に贈ったので、同じ作者のデビュー作を読んでみました。要するに、ファンタジー仕立ての自己啓発本なのですが、読んでいて目に浮かぶのは日本の田舎の風景。しかし「賢者の書」なんてタイトルを付けるから舞台を外国に持っていかざるを得なくなったトンチンカン本。
上記目次右の括弧内が「キーワード」。これを伝えたくてストーリーを仕立てたのはわかるのですが、読む気が起きないのでは本末転倒。息子に贈るのはやめておきます。 |
マニュアルを読まなくても使い方がわかって、やっているうちに使い込むことができるようになる。それがゲーム機の必要条件。ゲームは遊びであり、遊ぶにあたって説明書を熟読する人間なんていない。そんな話が書いてある本です。 朝日新聞に掲載された「ゲーミフィケーション」の記事で本書が紹介されていたので図書館で借りてきました。
ファミコンの「ゼビウス」「スーパーマリオ」「ドラゴンクエスト」が紹介されていて、懐かしい!! ファミコンのコントローラーの十字キーとABボタンの役割など、ゲームのユーザーインターフェイスを分析しています。 いまとなっては多少内容が古く感じますが、興味のある方はざっと目を通しておくとよいでしょう。 お勧め度:★★★☆☆ |
大工の銀次は博打で20両の借金をつくり、利息代わりに賭場に引き込んだ一家を夜逃げに至らせてしまいます。返しても返しても元金が減らないため、銀次は賭場の頭・猪之助に談判します。「20両は返すから利息と催促はなしにしてくれ」と。とんでもなく虫のいい話を猪之助は飲む代わり「二十両をけえし終わるまでは、大川を渡るんじゃねえ。一歩でも渡ったら、始末する」。 大川の西はお城と武家の町、東が庶民の町。ここを行き来できないのは意外に不便なようです。しかし、猪之助はどうして銀次の要求をすんなり受け入れたのでしょう。そこが最後まで疑問だったのですが、銀次の心意気を買ったということ、なの、かな。それと「始末」しちゃったら20両は返ってきません。猪之助の言動は筋が通らないのが気になります。 それと、銀次のくそまじめなところは「鎌倉河岸捕物控」シリーズの政次に似ています。細かいところにこだわらなければ、面白い時代小説です。 お勧め度:★★★☆☆ |
「あ、これ映画の…」。図書館で見つけたので読んでみることにしました。 アーカイブ星(あの世)に行ってしまった澪が1年後の6月、雨とともに、巧と息子・佑司のもとへ帰ってくる。6歳の佑司を育てる巧は、電車やバス、エレベーターに乗れないし、映画館にも入れないという障害を抱えながら、近所の司法書士事務所で働いています。5歳で母親を亡くした子供なんて、可哀相すぎる。そう思うとページを繰る手が止まります。 仕方ないので休日の朝、近くのスターバックスで読むことにしました。映画『ゴースト』と『博士の愛した数式』、それに『四十九日のレシピ』を思い出します。それにしても自分の死後、もう一度会いに来るなんて、どうやったのだろう? 最後に種明かしがあるのですが、話が長くて疲れました。 泣けるかな、と思ったけれど泣けませんでした。 お勧め度:★★★☆☆ |
「東京バンドワゴン」シリーズ第6弾。第4弾は番外編だったからシリーズ5冊目。1冊が四季(1年)だからスタート時から5年目。大人はあまり変わりませんが、子供たちはどんどん成長していくのが頼もしい。
ただ、シリーズを通して見ると、あっさり結婚して、あっさり子供が生まれて、あっさり亡くなって、ちょっと関わっただけの人をどんどん取り込んでいって…やっぱりフィクションなんだって感じます。 それでも楽しく、安心して読める本としてお勧めです。お勧め度:★★★★☆ |
明治時代から続く東京下町大家族古書店「東京バンドワゴン」シリーズ第5弾。
1話は、引っ越し手伝いに借り出された(亜美の弟の)修平くん。お寺で百物語をしたら、99ページしかない和綴じの本に100ページ目が現れてトラウマに。2話は、店の前に「捨て猫です」と書かれた段ボール箱。中には猫に関する古本が…。3話は、紺の恩師・百々先生が店を訪れ、蔵書を預かってくれないか、と。勘一は静岡の東雲文庫を紹介したのですが…。4話は、藤島さんは自分が興した会社を辞め、あとは三鷹さんと永坂さんに任せようとするのですが…。 最初の3巻と4巻目の番外編までは楽しかったのですが、5巻になっても同じ調子で続いているのでマンネリ感が出てきたかなぁ。ここらでなにか新鮮さが欲しいところ。(贅沢?) お勧め度:★★★★☆ |