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2012年5月

2012年5月31日 (木)

天切り松 闇がたり2〜残侠 (浅田次郎)

「天切り松 闇がたり」シリーズ第2弾。松蔵(天切り松)は、留置場で初犯の若者を相手に説教の代わりに昔語りをするというスタイルは変わりません。大正11年1月3日、松蔵は浅草寺に詣でた折、見事な居合い抜きを見せる老侠客に出会う。清水の次郎長一家の小政だというのだが…。

松蔵の親分である目細の安吉は「ねずみ小僧」ではありませんが、持てる者から盗って、持たない者へ配るのが信条。警察に盗難届けが出された「盗品は返し、金は半返し」という密約が検察との間で成り立っていたとか。そのため、親分は盗品を1ヶ月の間は手元に置いてあったといいます。逆に、警察に届けが出せないような代物は戴いておこうというわけです。もちろんフィクションでしょうけれど、なかなか粋な話です。

小政の活躍以外にも、安吉、英治、寅弥も出番がありますし、松蔵が吉原の禿に恋したり、おこんが海軍士官に好かれて追いかけられたり、安吉一家総出演で楽しませてくれます。

お勧め度:★★★★★

2012年5月29日 (火)

天切り松 闇がたり〜闇の花道 (浅田次郎)

「プリズンホテル」「きんぴか」の浅田次郎の悪漢小説「天切り松 闇がたり」シリーズ第1弾。大正6年の東京、主人公の松蔵は父親に連れられ、抜弁天の安吉親分に弟子入りしたのですが、そこは仕立屋銀次の配下、盗人一味なのでした。70年後の松蔵が留置場で語り聞かせる、粋な江戸っ子盗賊たちの活躍。
  1. 闇の花道
  2. 槍の小輔
  3. 百万石の甍
  4. 白縫華魁
  5. 衣紋坂から

町方じゃなくて警察に変わっても、盗っ人たちは装束から心情、言葉遣いまで江戸時代そのまま。大正時代にはまだ江戸時代生まれが現役だったのだと気づいて驚きます。「天切り」とは屋根瓦を外し天井を抜いて忍び込む高度な技。盗んだ金は貧乏人に配ってしまう義賊なので、欲で動くことはありません。いちばんかっこよかったのは2話。元老・山形有朋の金時計を掏摸とるおこん姐さんの心意気に痺れます。まさに、読む講談です。

やくざも泥棒も決して好きではないのに「かっこいい!」と思ってしまうのは日本人の血なのか、浅田次郎の術中にあるのか。これは子供の読み物ではありません。大人のためのファンタジーです。

お勧め度:★★★★★

2012年5月27日 (日)

四畳半神話大系公式読本 (森見登美彦と四畳半神話研究会)

『四畳半神話大系』の小説とアニメを紹介する公式読本です。小説も面白かったけれど、アニメは、オープニングとエンディングも含めて、独創的で印象に残るものでした。
  • 森見登美彦書き下ろしエッセイ 「或る四畳半主義者の想い出」
  • アニメ名場面&名言集
  • カラーグラビア 「森見登美彦と歩く京都」
  • 対談 森見登美彦×上田 誠
  • キャラクター原案・中村佑介インタビュー
  • 森見登美彦インタビュー  「私」の食物誌
  • 四畳半的読書案内  「私」の本棚
  • ライターA、師匠への挑戦
  • 四畳半年表
  • 湯浅政明監督インタビュー
  • 登場人物紹介
  • キャスト座談会 浅沼晋太郎(「私」役)、吉野裕行(小津役)、坂本真綾(明石さん役)、諏訪部順一(城ヶ崎先輩役)
  • OP&ED映像のつくりかた
  • 背景美術集
  • アニメあらすじ&スタッフリスト

冒頭の書下しエッセイでは、森見登美彦が京大に入学し、父親と下宿探しをして、大学院を卒業するまでの経緯に触れてあり、小説とは異なる「地の文章」で書かれている点、人となりがよくわかって面白かった。

全140ページ弱のムックですが、カラー写真やイラストもあり、かなり細かい活字で詰め込んであるページもあり、そこそこ読み応えがあって「四畳半」ファンにはうれしい!

お勧め度:★★★★☆

2012年5月25日 (金)

日本人 礼儀作法のしきたり (飯倉晴武)

『日本人のしきたり』シリーズ第3弾。

「畳のへりを踏んではいけない」というのは何故なんだろう、と気になって、参考になりそうな本を探しました。いわく、武家の護身術という説。床下から敵が刃物を突き出してくるかもしれないから、刃物を通しやすい畳のへりには座らないのだとか。思わず「ほんとかよ」とツッコミたくなりますが、定説以外にも諸説ある場合には、わかりやすくカンタンに説明してあります。
  1. 訪問・接客の作法
  2. 日常生活の作法
  3. 祝い事の作法
  4. 結婚・婚礼の作法
  5. 食事の席の作法
  6. 葬式・法事の作法
  7. 年中行事の作法

読んで面白い本ではありませんが、社会人一年生は一読をお勧めしたいと思います。

お勧め度:★★★☆☆


2012年5月23日 (水)

日本人 数のしきたり (飯倉晴武)

『日本人のしきたり』シリーズ第2弾。

「1月1日、3月3日、5月5日、7月7日は祝日や節句なのに、9月9日と11月11日は何故ないのかな」と気になって、この本を手に取ったところ、9月9日は重陽の節句なのですね。また、1月1日は元旦であって、人日節句は1月7日。七草がゆの日です。奇数が縁起が良いとされる陰陽思想に基づくため、9が最高なので11月はありません。

「丑の刻参り」の総元締が京都鞍馬の貴船神社だったとは。あの、藁人形に五寸釘の呪詛信仰。現在は「縁切り」転じて「縁結び」の神としても信仰されているとか。「日本人のしきたり」も時代とともに変わっていくようです。

また、富士山などに登るとき「六根清浄」(ろっこんしょうじょう)と唱えるのが「どっこいしょ」の語源だとか。これも「ほんとかよ」とツッコミたくなりますね。七福神が国際色豊かなメンバーだとか、嘘か真がわかりませんが、読んでいて楽しい。話のタネ本としてもお勧めします。

お勧め度:★★★★☆

2012年5月21日 (月)

日本人のしきたり (飯倉晴武)

昔なら両親や祖父母から教わるような、日本のしきたりや作法。いわゆる「ニッポンの常識」。それを本で補うことができます。
  1. 正月行事のしきたり
  2. 年中行事のしきたり
  3. 結婚のしきたり
  4. 懐妊・出産のしきたり
  5. 祝い事のしきたり
  6. 贈答のしきたり
  7. 手紙のしきたり
  8. 葬式のしきたり
  9. 縁起のしきたり
  10. しきたりに関することわざ

たとえば「還暦」というのは十干十二支の60の組み合わせで年を表した名残りで、ちょうど生まれ年の干支に戻ることを祝うのだとか。「三三九度」というのは(陰陽思想で)縁起のいい三を三回重ねて最も縁起のよい九にしたとか。「ふ〜ん」と思わず納得。ちょっと得したような気分になれます。

息子たちが社会人になるときには一通り目を通すようにと渡そうと思います。

お勧め度:★★★★☆


2012年5月19日 (土)

壬生義士伝 (上) (浅田次郎)

浅田次郎の『蒼穹の昴』『珍妃の井戸』『中原の虹』『マンチュリアン・リポート』までの中国歴史シリーズを読み終えて「今度は日本だ!」と勇んで手に取ったものの…。

『蒼穹の昴』は西太后、『中原の虹』は張作霖というように『壬生義士伝』では新撰組の吉村貫一郎を描きます。食い詰めて南部藩を脱藩し「壬生浪」と呼ばれていた新撰組に入隊。読み書きもできるし、剣の腕も確か。盛岡の妻子への仕送りのためには守銭奴にもなる男。

『蒼穹の昴』同様、冒頭の数ページで読むのをやめようかと思いました。いきなり目を背けたくなるような悲惨な状況から始めるのはどうかやめてほしい。鳥羽伏見の戦いで破れ、満身創痍で南部藩の屋敷に転がり込んで命乞いするのですが、脱藩者がなにを今更。「腹を切れ」と刀を渡されます。「どうなっちゃうんだろう」と思ったら場面転換。後年べつの隊士やら吉村の教え子やらから話を聞いていくのです。『珍后の井戸』の独白パターンに似ています。

関係者の証言から、当時の世相や新撰組の有り様を含めて吉村貫一郎を描き出そうとするのですが、上巻の途中で力尽きてしまいました。そもそも新撰組には「やぶれかぶれの人殺し集団」という偏見を持ってまして、それでもひとりひとりには事情やら思いがあっただろうと読もうとしたのですがだめでした。(残念)

2012年5月17日 (木)

マンチュリアン・リポート (浅田次郎)

『中原の虹』の主人公・張作霖が乗った列車は昭和3年6月4日未明、関東軍によって爆破されました。その暴挙に激怒した昭和天皇は張作霖爆殺事件の真相を調査して報告するよう、獄中から連れ出した志津中尉に命じたのです。天皇の密命を帯びた中尉が満州から送った「満州報告書」です。

目次には「満州報告書 第一信」「鋼鉄の独白1」が6組続いたあとに「終章」「満州報告書 第七信」とあります。「鋼鉄の独白」の鋼鉄とは西太后が一度だけ乗った御料車を引く英国生まれの蒸気機関車。この機関車が爆破されるので事件の証人なのです。モノローグ形式は『珍妃の井戸』で馴れましたが、鉄の塊にしゃべらせるとは意表を突かれました。しかも、張作霖は鉄が好きです。

この1冊だけでも独立した小説として楽しめるはずですが、できれば『蒼穹の昴』『中原の虹』から読んでほしい。最後に『蒼穹の昴』の春児にも会えます。

満州における関東軍の暴走を、天皇はなぜ止められなかったのか。況や、その後の太平洋戦争は…。天皇の権威を逆手に取って、勝手に事を進める軍部と政府のやり口がすこしわかったような気がします。

いちばん面白かったのは「満州報告書 第七信」。読み応えのある小説をお探しの方は、この機会にぜひ浅田次郎の中国シリーズを読んでみてください。

お勧め度:★★★★★

2012年5月15日 (火)

中原の虹 4 (浅田次郎)

中華民国となるも孫文では国は収まらず、宋教仁が民の信望を得ますが、突然暗殺され、迷走する民国は袁世凱を新皇帝に!? いまや東北王たる張作霖から見れば、孫文も袁世凱も「糞ったれ」。人生の辛酸を嘗めた「貧乏人」が民の平安のために立ち上がり「超過長城」!

清朝は初代皇帝ヌルハチの即位1616年から第12代宣統帝の退位1912年までの約300年間。江戸時代が1603〜1868年の265年間だから、ほぼ同時代。日本のほうが一足先に革命を起こして列強諸国の牙から逃れたことになります。『浅田次郎とめぐる中国の旅』によると、中国では張作霖よりも張学林のほうが人気があるとか。坂本龍馬が薩摩と長州を結びつけたように、国共合作(国民党と共産党の協力関係)を成功させた英雄だとか。暗記するだけの歴史の勉強は無味乾燥でつまらないけれど、その時代の人物を深く知ることで、当時の社会や文化などにも興味を持つようになります。

史実にフィクションを織り交ぜながら語られる物語はまだ終わりません。つぎは『マンチュリアン・リポート』を読みます。作者は現代中国まで書きたいけれど、歴史的評価が定まっていないため、もうすこし先になるとのこと。気長に待たせてもらいます。

お勧め度:★★★★☆

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2012年5月13日 (日)

中原の虹 3 (浅田次郎)

西太后が亡くなったのが1908年11月15日で、わずか2歳の宣統帝が即位したのが同年12月2日。そして1911年に辛亥革命が起きて清王朝は瓦解、1912年に孫文の中華民国が成立します。列強諸国の植民地にされなかったのは西太后の望みどおり。しかし、革命の行く末は?

馬賊の頭目・張作霖と、北京の軍人・袁世凱。このふたりが中国の将来を決めるキーパーソン。張作霖はともかく袁世凱はどうも好きになれません。野心家のくせに肝っ玉が小さい。

『蒼穹の昴』から続く「龍玉」はフィクション。単なる歴史小説ではなく、冒険小説とするための小道具だとか。次の4巻で完結します。

お勧め度:★★★★☆

2012年5月11日 (金)

中原の虹 2 (浅田次郎)

満州では張作霖一派が着々と勢力を伸ばしつつあり、一方、紫禁城の西太后は余命を知り、中国が列強諸国に植民地化されないための布石を打ちます。それは自らの手で清朝を滅ぼすこと…。

『蒼穹の昴』から続いてきた西太后の生涯は『中原の虹』第2巻で終わります。作者は、広大な領土と4億の民を治める、西太后の才能と苦衷を察し、光緒帝との間の情愛も丁寧に描いています。

『蒼穹の昴』で「消えた龍玉はどうなった?」についても『中原の虹』で描かれるわけですから名実ともに続編といえます。「龍玉」は第6代乾隆帝がどこかに隠したために、その後の帝は天命を得ておらず、それが故に国は衰退していったとか。この小説には過去の英雄が「幽霊」として登場しますが、龍玉を隠した理由は明言していません(と思う)。

お勧め度:★★★★☆

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2012年5月 9日 (水)

中原の虹 1 (浅田次郎)

『蒼穹の昴』の続編ですが、清朝末期という時代は被っていても、場所は万里の長城の外側、満州です。馬賊の頭目・張作霖が勢力を伸ばし、ついには中国皇帝の証である龍玉を手に入れ、幼い息子・張学良に委ねます。

満州馬賊たちの口調はまるで『天切り松 闇がたり』(浅田次郎)の中国版。どちらも盗人だけど、どちらも義賊ということでしょうか。馬を駆って大口径のピストルを撃ちまくる馬賊は、臆病者は仲間でも撃ち殺す残忍な連中。本来ならば政府が取り締まるべき相手なのに、軍隊でも勝てないかもしれないものだから、逆に帰順させて利用しようとします。一方、列強諸国は軍事力を背景に中国の植民地化を狙う。強い者が勝つ、力こそ正義という時代の物語です。

軍隊の大佐なんかより馬賊の頭目のほうがずっと存在感があってかっこいい。『蒼穹の昴』の登場人物も顔を出したりするので、それも楽しみのひとつ。人物紹介や背景説明が長くて退屈な場面が増えたけれど、読み応え十分。『蒼穹の昴』を楽しめた方は是非!

お勧め度:★★★★★

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2012年5月 7日 (月)

浅田次郎とめぐる中国の旅 (浅田次郎)

『蒼穹の昴』『珍妃の井戸』『中原の虹』の世界を紹介してくれる、中国旅行ガイドブック。これらの小説のファンで、実際に中国を訪れる際には必携です。そうでなくとも、小説を読んでいる途中はもちろん、読後にもう一度見直してみるとよいでしょう。わたしも北京と天津の地図を見て、思っていたより近いことに驚きました。
  1. 紫禁城
  2. 北京
  3. 満州へ
  4. 万里の長城
写真を交えたガイドの合間に対談やインタビューがあり、小説のあとがきを膨らませたような、執筆の裏話を聴くことができます。浅田次郎の中国時代小説を好きな方は必読です。

中国の歴史小説というと『三国志』のように古代を扱うものが多く、清朝末期のような近代を扱うものは珍しい。日本でいえば明治時代ですから登場人物の写真が残っていて、妙にリアルです。

お勧め度:★★★★☆

2012年5月 5日 (土)

珍妃の井戸 (浅田次郎)

『蒼穹の昴』にもチラっと登場した高緒帝の側室・珍妃が王宮の井戸に投げ込まれて殺された事件を描く続編(番外編)です。1900年の義和団事件で、英仏独日等の列強諸国は北京を蹂躙し、略奪・暴行の限りを尽くします。その調査の名目で清を訪れたイギリスのソールズベリー提督を筆頭に、ドイツの情報将校シュミット大佐、露清銀行のベトロヴィッチ総裁、東京帝大教授の松平忠永子爵の4名が「探偵」役。中国時代ミステリーにワクワクします。

ソールズベリーたちが珍妃の殺害にこだわったのは「立憲君主制の危機」が理由だとか。王宮内で皇帝の側室が殺されたということは皇帝の命も危ない。これは看過できないというのですが、提督がミセス・チャンに誘導された観もなきしもあらず。

アメリカ人新聞記者トーマス・バートン、かつての万歳宮付太監・蘭琴、袁世凱将軍、実姉・瑾妃、永和宮太監・劉蓮焦、愛新覚羅・溥儁の6名の独白を聴いていくのですが、みんな言うことがちがうので、最後は、畏れ多くも光緒帝である愛新覚羅·載湉に謁見して事情を伺うことに…。

珍妃の井戸は実在しており、石臼のようにちいさなもの。インターネットで画像検索するか、『浅田次郎とめぐる中国の旅』という本をごらんください。この本は『蒼穹の昴』『珍妃の井戸』『中原の虹』の世界を紹介していて、小説のリアリティが増すこと請け合いです。

清朝が崩壊したのは、西太后の専横や失政のせいではなく、列強諸国の暴虐によるというのが浅田次郎の見解。珍妃が死ぬことになった直接の原因はわからずとも、遠因は同様だといえるでしょう。

お勧め度:★★★★☆

2012年5月 3日 (木)

蒼穹の昴 4 (浅田次郎)

光緒帝の変法維新が始まるも、あまりに性急な改革に王宮内も大混乱。西太后暗殺未遂事件をきっかけに帝派は粛正されてしまう。死を覚悟した文秀を、なんとかして国外へ逃そうとする人たち。西太后の胸のうちを知る春児の苦衷。物語はクライマックスへと向かいます。

天子の印「龍玉」はどうなったのか気になっていたのです。牢獄から逃げ出した王威はぼろぼろになって路傍に転がってました。「龍玉」を守る天命はどこに行ったのかと思ったら、その玉は人の子だったのです!

最後に文秀が自らの過ちに気づいたときの科白が印象的。「孔子の言った忠と悌との原理を、僕はそのとき知った。そして尊い書経の訓えを何ひとつ理解せず、ただ丸暗記をして科挙に登第した僕ら士大夫が政治を語り始めたとき、国家は自ら衰亡の道をたどったのだということも。」 これは日本の高級官僚にも当てはまる話ではないでしょうか。

1900年の義和団事件、1911年の辛亥革命と続く清朝崩壊の直前で物語は終わります。唐突なようで、予感していたエンディング。春児は宝を手に入れます。

お勧め度:★★★★★

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2012年5月 1日 (火)

蒼穹の昴 3 (浅田次郎)

清国王朝は誰の目にも崩壊寸前。列強諸国は清を食い物にしようと待ち構えています。そんな中、光緒帝の変法維新を目指す帝派は、西太后から親政の開始と太后の引退の約束を取付けることに成功します。しかし、いつになったら実現するのやら…。文秀は帝派、春児は后派という敵対する立場に引き裂かれ、ついに后派による暗殺計画が実行に移されます。さらに両派の楔ともいうべき恭親王が倒れて…。

文秀は期待されない次男坊、春児は馬糞拾いだったのが、トントン拍子に出世して権力の中枢に。都合が良すぎるように感じますが、そうでないと文庫で全4巻が10巻くらいになりそうなので気にしないことにします。

栄禄や李蓮英という王宮の守旧派の暗躍に怒りを感じ、日本、アメリカ等の新聞記者の目を通して見る国際情勢に危うさを感じ、天津の李鴻章の聡明さに感心したり、日本では明治維新が起きたんだなぁと歴史を感じたり、見所(読み所?)満載です。

お勧め度:★★★★★

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