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2012年4月13日 (金)

憑神 (浅田次郎)

貧乏御家人・別所彦四郎は婿入先から離縁され実家に戻り肩身の狭い暮らしをしています。蕎麦一杯の小遣いすら母親の紙入れを借りねばならないほど不運、不幸、不遇を絵に描いたような御仁。それがある日、河原の雑草に埋もれたお社に手を合わせた途端、神が憑いたのです。しかも、とんでもない神、貧乏神に…。

幕末の江戸、大政奉還や鳥羽伏見の戦いの頃。幕府は事実上崩壊しているけれど、御家人たちには戸惑いがあった時代。彦四郎も徳川家に仕えてきた矜持があり、根が生真面目なため、易きに流れることができません。律儀で不器用な人間が貧乏神相手にどう渡り合うのか。

浅田次郎だからあたりまえの時代小説では終わらないだろうと思っていたら、貧乏神だけでは終わりませんでしたし、読み終えてからも「そう来たか…」と、しばらく考え込んでしまいました。

畠中恵の「しゃばけ」シリーズでも人と妖は価値観が異なるとありますが、ここでも人と神の価値観が異なるいちばんの原因は「限りある命」。限りがあるからこそ輝く命。いや、輝かせねばならぬ命を授かったのが人。輝かせ方は時代によって異なるかもしれない。彦四郎の場合はこうだったということ。

お勧め度:★★★★☆

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