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2012年3月 5日 (月)

風が強く吹いている (三浦しをん)

たいへん疲れる小説でした。無名大学の弱小陸上部10人が箱根駅伝に挑戦するお話。たしかに500(文庫版は670)ページの長編ではありますが、ページ数の問題ではなく読み進めるのが苦しかった。まさに駅伝をいっしょに走る感覚。中盤過ぎまでは上り坂でつらかったけれど、終盤になると下りで勢いがつきました。

三浦しをんは自身のエッセイで、小説の主人公の命名には苦心する、と書いていました。本書の主人公は蔵原走(くらはら かける)。そのまんまじゃないか、と突っ込みたくなります。しかし「名は体を表す」というのは本当だな、と息子たちを見ていて思うことがあります。それだけ名前は大事です。

物語は世田谷の小田急線・祖師ケ谷大蔵あたりのおんぼろアパート「竹晴荘」から始まります。そこには、近くの寛政大の学生9人が住んでいて、世話係の清瀬は「10人目」を探していました。そこに転がり込んだのが「走」だったわけ。

素人同然の10人で箱根駅伝に挑むなんて無謀かもしれないけれど、そんなことができたら楽しいね、という小説です。箱根駅伝に出場するには、まず記録会で一定以上の記録を残し、予選会を通過しなければなりません。本の厚さからして箱根に挑戦できることは明白。そうは思ってもハラハラしました。駅伝を10人で戦うということは、11人のサッカーチームが関東大会に挑むようなもの。補欠選手がいないので、ひとりでも故障したらアウトです。

「ただ速く走ればいい」というのではなく、もっと精神的な、内面的な強さを求める主人公たちの成長が見どころです。

お勧め度:★★★★★

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