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2012年2月

2012年2月29日 (水)

きんぴか 3 真夜中の喝采 (浅田次郎)

悪漢小説「きんぴか」の最終巻です。
  1. 一杯のうどんかけ
  2. 真夜中の喝采
  3. 裏街の聖者
  4. チェスト! 軍曹
  5. バイバイ・バディ

1話は、蕎麦を食うというピスケンと、うどんだと主張する軍曹。軍曹の腕力が勝り、入ったうどん屋に 「一杯のかけそば」(栗良平)みたいな母子がやってくるが、じつは…。

2話は、山内龍造代議士が暴力団から賄賂を受け取る現場をスクープした記者・草壁明夫が殺された。そして、山内の私設秘書・榊原六平は星野組本部で麻雀で珍しくひとり勝ちしていた。「矢でも鉄砲でも持ってこい。大砲でもええぞ!」すると、大砲が来た。軍曹とピスケンは自衛隊から借用した(盗んだ)ジープに積んだ106mm無反動砲で本部の1階部分を吹き飛ばしたのだ。一方、草壁の死にショックを受けた広橋も行動を起こし…。

3話は、広橋の別れた妻の再婚相手・仙太郎は毎日、歌舞伎町の場末の診療所で外国人ホステスたちの診療に(家族には内緒で)当たっていた。そこへ偶然「血まみれのマリア」とピスケンが、道ばたでうずくまっていたホステスを連れてくると…。

4話は、故郷の鹿児島に里帰りした軍曹は、20年前となんら変わらない時代錯誤な家族を見て安心するやら哀しくなるやら…。

5話は、アルツハイマー状態だった四代目天政連合会総長・新見源太郎が突然正気づいて五代目総長を選ぶと言い出した。ひと仕事終えて、ピスケン、軍曹、広橋はそれぞれの道を歩き始める…。

今回、面白かったのは2話と3話。「きんぴか」が書かれたのは1992、1993、1994年で「プリズンホテル」は1993、1994、1995、1997年だから「きんぴか」が先行するものの「プリズンホテル」と同時期もあるわけです。すると「血まみれのマリア」については「きんぴか2」に登場したのち「プリズンホテル3」にも顔を出したことになります。

わたしの好みとしては「きんぴか」もいいけれど「プリズンホテル」のほうが面白かったかな。

お勧め度:★★★☆☆

2012年2月27日 (月)

きんぴか 2 血まみれのマリア (浅田次郎)

3人の悪党が活躍する「きんぴか」シリーズ第2巻。
  1. 嵐の夜の物語
  2. 血まみれのマリア
  3. クリスマス・ロンド
  4. カイゼル髭の鬼
  5. 天使の休日

1話は主にピスケンが活躍し、2話は彼が「血まみれのマリア」に恋をします。6階から飛び降り自殺を図った17歳の少女を救おうと、外科医に開胸させて自ら心臓マッサージをするマリアはやくざより迫力があります。

「きんぴか1」は1冊の本としてまとまっていましたが「きんぴか2」は連作短編集です。1話と2話は面白かったけれど、3話以降はいまひとつ。「きんぴか3」はどうでしょう?

お勧め度:★★★☆☆

2012年2月25日 (土)

きんぴか 1 三人の悪党 (浅田次郎)

浅田次郎の「プリズンホテル」1〜4を読み終えて、ベテラン看護婦「血まみれのマリア」の登場する本があると知って「きんぴか」シリーズ(1〜3巻)を手に取りました。この1巻を見る限り、悪漢小説ということで「プリズンホテル」とおなじ水と申しますか、まったく違和感なく入ることができます。これは双方向出入り自由かと思いますので「きんぴか」と「プリズンホテル」は姉妹小説だとご理解いただいてよろしいかと。

「三人の悪党」とは、殺人罪で13年服役した阪口健太(通称ピスケン)、湾岸への自衛隊派遣反対に一命を賭し損ねた大河原勲(通称軍曹)、収賄事件の罪を被って有罪となった元政治家秘書・広橋秀彦(通称ヒデさん)。この3人を拾ったのは、元・捜査四課の刑事・向井権左エ門。銀座7丁目の元・会員制アスレチッククラブのビルを根城に、3人の好きなようにさせてやるというのです。3人にはそれぞれ復讐すべき相手がいます。裏には私怨があるけれど、表向きは社会悪を討つという闘いに3人で挑むのです。

経歴も性格もまったく異なる3人なのに、なぜかノリは共通していて笑わせてくれます。ただし、大河原のパンツが星条旗柄だったために死にきれなかったとか、かなり下品です。自衛隊ネタは作者の経験によるところが大きいのでしょう。悪漢版「水戸黄門」みたいな爽快感をお楽しみください!

お勧め度:★★★★☆

2012年2月23日 (木)

京都読書さんぽ (アリカ編著)

                         
京都の名所旧跡ではなく、本と出会うためのガイドブック。新書店、古書店、ブックカフェ、ギャラリーなど、書店めぐりがお好きな方にお勧め。とくに古書店での本との出会いは一期一会。気に入った本は即ゲット!
      
      北山〜北白川周辺、京大周辺〜東山、御所周辺〜西陣、河原町・京都駅・壬生・嵐山の4区域に分けて紹介。それぞれ地図があるので、この本を片手に「さんぽ」してみては? 図書館ガイドもあります。京都国際マンガミュージアムなんてあるんですね。知りませんでした。
      
      お勧め度:★★★★☆

2012年2月22日 (水)

森見登美彦の京都ぐるぐる案内 (森見登美彦)

                         
京都を舞台にした森見登美彦の小説(「夜は短し歩けよ乙女」「四畳半神話大全」「有頂天家族」「恋文の技術」など)が好きで、話のなかに登場する寺社や喫茶店などを実際に訪れたりしていたので、そんなわたしにぴったりの本です。
      
      「左京区エリア」では、鴨川デルタ、下鴨神社、京都大学、進々堂、吉田山、大文字山、真如堂、荒神橋、京都市美術館、水路閣、哲学の道、琵琶湖疎水。「四条近辺」では、四条大橋、レストラン菊水、東華会館、木屋町、先斗町、祇園。「伏見区ほか」では、伏見稲荷大社、貴船口〜鞍馬、竹林。「番外編」として、太陽の塔、叡山電車が写真つきで紹介されています。喫茶店の進々堂って昭和5年(1930年)からだということは創業82年ですか。古いのは御所や寺社だけではありません。
      
      また「登美彦氏、京都をやや文学的にさまよう」と「京都捻転紀行」なるエッセイもあります。前者では、梶井基次郎の『檸檬』を真似る話から『雨月物語』が怖いとか、谷崎潤一郎の墓は法然院にあるとか、西田幾太郎『善の研究』は見事挫折したとか、脱線気味にふらふらと綴ってあって愉快です。
      
      他に、お勧めスポットと地図も載っているので、森見登美彦ファンの京都ガイドブックとしても使えます。しかし、A5サイズ100ページ弱で1,470円はちと高いような気もしますが、写真がうつくしいので許しましょう。
      
      表紙は伏見稲荷の千本鳥居ですね。昨年、長男と訪れた際、彼が鳥居を数えたのですが、途中で挫折して700本+α、かな?
      
      お勧め度:★★★★☆

2012年2月21日 (火)

四十九日のレシピ (伊吹有喜)

後妻の乙美を亡くした良平のところへ、ガングロ19歳、井本がやってきて「乙美先生に四十九日まで家族の世話をするよう頼まれました、バイト料先払いで」。入浴しようとする良平に「背中を流しましょうか」と服を脱ぐ井本。ちょうどそこへひとり娘の百合子が戻ってきました。「お父さん、昼間からなにをしているの?」。掴みが面白くて最後まで一気読み!

良平は妻を亡くし、百合子は夫の不倫に傷つき、どうしようもなく暗くなるところを井本が明るく支えます。井本は、乙美が生前リボンハウスで絵手紙を教えていたときの生徒だというのです。絵手紙だけでなく料理や掃除、洗濯など、生活全般の手ほどきを受けた井本は手際よく家事をこなしていきます。乙美が作ったレシピ(カード)があったのです。

目的は乙美の遺言である「四十九日は(法要ではなく)大宴会をしてほしい」を実行すること。良平は痛んだ屋根や壁を塗り替えようと、井本に「だれか男手を探してきてくれ」と頼みます。やってきたのは古いビートルに乗る日系ブラジル人カルロス。彼は「呼び名をつけてほしい」というので良平は「はるみ」とつけます。

乙美の四十九日までの出来事が描かれるのですが、泣いたり、笑ったり、怒ったり、それぞれの事情で無気力になっていた良平と百合子が、井本とはるみのおかげで立ち直っていきます。そして最後に「え、そうだったの!?」。じーんと来ました。

お勧め度:★★★★★

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2012年2月19日 (日)

プリズンホテル 4 春 (浅田次郎)

清子と結婚し美加の父となった木戸孝之介のもとへ「日本文芸大賞」の候補になったとの報せが届きます。しかも「哀愁のカルボナーラ」と「仁義の黄昏」の2作品がノミネート。それを知った義理の母・富江は、もう思い残すことはないと姿を消してしまう。じきに帰ってくるだろうと考えた孝之介は、選考結果の連絡を「プリズンホテル」で待つことにしたのでした。

「日本文芸大賞」の選考結果待ちを縦糸に、あれこれとややこしい横糸が絡んできます。警察の手違いで懲役52年もの勤めを果たした小俣弥一、倒産寸前の工場主、演劇母娘に僻地教員らが不思議なつながりを見せてくれます。

ここまで来ると「プリズンホテル」のパターンというか定石が見えるので、ラストのことは気にせず、次々に起こる突飛な出来事を楽しむことができました。しかし、懲役を終えた「放免祝い」に賭場を開いてほしいという頼みに、ホテルの連中は博打のやり方を忘れてしまってて…結局オイチョカブかよ! しかもそれがデスマッチの様相を呈してきて…まぁ、笑えます。

あまり期待せずに読み始めた「プリズンホテル」でしたが面白かったです。つぎは「血まみれのマリア」つながりで「きんぴか」1〜3巻を読んでみようと思います。

お勧め度:★★★★☆

2012年2月17日 (金)

プリズンホテル 3 冬 (浅田次郎)

救命救急センターのベテラン看護婦「血まみれのマリア」は休暇をとって雪深い「プリズンホテル」へ。「この二十年でざっと五千人殺したわ」と豪語するものだからホテルの従業員たちは恐れ入ってしまいます。そこには末期患者を安楽死させた医師・平岡が投宿していて…。

第1巻では抵抗があった「うさん臭さ」も3巻まで来ると慣れてしまって、早く続きが読みたいけれど、読んでしまうのがもったいないと思うようになっている自分がいます。

「血まみれのマリア」の名字は「アベ」しかないだろうと思ったらそのとおり。生きたいけれど苦しむ患者を殺す医者と、自殺した患者の命をつなぎとめる看護婦。一方、死ぬつもりで雪山に入った少年はベテラン登山家に救われます。あまりに好都合な人物が予定調和的にホテルに集うことに「うさん臭さ」を感じますが、面白いから許します。

面白いといえば、マリアに向かって孝之介が「あなたはナースですか」と言ったら、清子はきょとんと「八百屋さん?」。孝之介が清子の首を絞めようと飛びかかったところをマリアに止められます。まるでマンガです。

社会から弾かれた人間もやさしく受け入れてくれる「プリズンホテル」は最高の癒しの宿なのでした。

お勧め度:★★★★☆

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2012年2月15日 (水)

プリズンホテル 2 秋 (浅田次郎)

第1巻もそうでしたが「あとがき」が面白いんです。「実はわたくし、こと偏屈さにかけましては作中の木戸孝之介氏よりも一枚うわてでございます」って、やっぱり孝之介は作者の分身だったんですね。「途中下車されてしまうお客様も多いと聞き及びます」って、うんうん、わかります。もう孝之介は登場させてくれなくていいんですけど、そうもいかないのだろうなぁ。すみません、勝手なこと言って。でも、楽しませてもらってます。

今回、一泊二日のツアーは「ホテルの外には一歩も出ず、殺人事件も起こらず、幽霊も出ない」んですけど、大曽根一家ご一行様と警視庁青山警察署慰安旅行ご一行様が鉢合わせ。犬猿の仲どころではなく、因縁の仲、仇同士、敵同士。不安でいっぱいの支配人を尻目に、なにやらウキウキしている大番頭さん。救急車を「予約」したい板長とシェフ。

結果として死人が出なかったのは奇蹟。ヤクザと警察って根っこは似てます。大声出して威嚇して、言うこと聞かなきゃ力でねじ伏せる。おなじ拳銃を持ってても片方は合法で、片方は非合法というだけ…?

「プリズンホテル」では、かっこ悪かった人がかっこ良くなって、これまで救われなかった人が救われる。それは客だけでなく従業員も同様です。花沢支配人はこのホテルでこそ本領を発揮でき、息子にも尊敬してもらえる。

では「集金強盗」のその後を次巻で書いてくれると信じて。

お勧め度:★★★★☆

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2012年2月13日 (月)

プリズンホテル 1 夏 (浅田次郎)

ヤクザ小説作家・木戸孝之介のたったひとりの身内である叔父・仲蔵がリゾートホテルを買い取った。ヤクザ、いや任侠団体専用ホテルなので人呼んで「監獄(プリズン)ホテル」。招待された孝之介は仕事を兼ねて「秘書」の清子を連れてホテルへ出向いたのだが…。

奥田英朗の「精神科医・伊良部シリーズ」は、まっとうであるはずの医師がでたらめなのですが「プリズンホテル」では、でたらめであるはずのヤクザ従業員たちが意外なことにまっとうなのです。悩みや問題を抱えた客がやってくるところは共通しています。客とはこの場合、怪しい小説家・孝之介と清子、任侠団体一行、懲役を終えたばかりの入れ墨男、定年後のフルムーン夫婦、一家心中を図ろうとする親子5人。

「プリズンホテル」の従業員たちはヤクザではなく任侠と呼ぶそうです。だとしたらヤクザなのは孝之介 です。粗野で乱暴であまりに胡散臭いので本を閉じたくなったのですが、浅田次郎だから一癖あるだろうと観念して読み続けてよかった。面白かったです。「精神科医・伊良部シリーズ」同様、なぜだかわからないけれど、客たちは癒されて悩みが消えてしまうのです。凄腕シェフと板前が腕を振るうところは、おいしい料理を食べて生きる勇気をもらう「みをつくし料理帖」(高田郁)にも通じるところがあります。

このホテルのパンフレットには「一泊二食ソフト付き」って書いてあるとか。宿泊客は翌朝、従業員チームとソフトボールの試合をするそうです。そのチーム名が「木戸アウトローズ」と「大曽根バッドマンズ」。おまけにカラオケバーの名前は「しがらみ」と、笑わせてくれます。「今夜は”しがらみ”でパーッと盛り上がろうぜ!」って…どう考えても盛り上がらないでしょう。随所に落語的な可笑し味を感じます。そもそもタイトルからしてふざけてます。プリンスホテルならぬプリズンホテルですから。

「ぼったくりバー」ならぬ「ぼったくりホテル」かと思いきや、危なくてヘンテコな連中が、彼らなりに真剣に接客業に取り組んでいるのが可笑しい。こんなホテルがあるわけない。あるわけないから面白いのです。

お勧め度:★★★★★

2012年2月11日 (土)

Story Seller 3 (有川浩、他)

『図書館危機』(有川浩)文庫版の児玉清との対談に、言葉の規制の話が出て「詳しくは Story Seller 3 に」ということで、有川浩の「作家的一週間」を目当てに手に取りました。

「陰部」はダメで「患部」「泌尿器」ならOKという新聞の自主規制って一体なんなのだろう?という問題提起です。しかし、新聞の編集担当者とのメールのやり取りには大いに笑わせてもらいました。

せっかくなので、もうひとつ『楽園』(湊かなえ)を読みました。『告白』の印象が強烈なので、ちょっと構えていたのですが「これなら大丈夫かな」と油断したところ終盤でやられました。苦悩の末に予想外の方向に突き抜けてしまう女性を描くとすごく上手い。この作者は作品に影を見せないのです。有川浩って「有川らしさ」が文章から丸見えだけど、湊かなえにはそれがない。わたしはそのほうが気が散らないので物語に没入できますが、笑わせてくれる有川浩や三浦しをんも大歓迎です。

お勧め度:★★★★☆

2012年2月10日 (金)

パズル・パレス (下) (ダン・ブラウン)

タンカドが死の直前に旅行者に渡した金の指輪を追っているのはデイヴィッドだけではありませんでした。指輪を手にした人物は次々と殺され、魔手はデヴィッドに迫ります。

立てた計画がすこしずつ狂い始め、悉く失敗して、嘘を嘘で塗り固めても、すべてが崩壊を始めるというパターン。最後はアメリカの国家機密データベースが危機に陥るサスペンス小説になります。

モデムだとか、ISDN回線だとか、ネットワーク設備が古いのは、本書が書かれた時代のせいでしょう。以下、ダン・ブラウンの作品リストです。
  1. パズル・パレス(1998)
  2. 天使と悪魔(2000)
  3. デセプション・ポイント(2001)
  4. ダ・ヴィンチ・コード(2003)
  5. ロスト・シンボル(2009)

2、4、5が「ロバート・ラングドン」シリーズ。わたしがまだ読んでいないのは「ロスト・シンボル」だけ。

あまり人を殺さないでほしいのですが、暗号解読とか地層学、生物学といった学問を背景にした知的、論理的謎解きは面白い! 「パズル・パレス」は、その後の作品の骨格を決めたようです。

お勧め度:★★★☆☆


2012年2月 9日 (木)

パズル・パレス (上) (ダン・ブラウン)

アメリカ国家安全保障局(NSA)の暗号解読用スーパーコンピュータ「トランスレータ」が解けない暗号が現れた。NSA副長官ストラスモアは秘蔵っ子のスーザン・フレッチャーを呼び出して協力を求めた。おまけに彼女の恋人のデイヴィッド・ベッカーも巻き込まれてスペインに旅立ったのです。

個人のプライバシーを守ろうと「トランスレータ」ですら解けない暗号を世界中に公表すると脅してきた人物がいて、NSAはそれを断固阻止しようとします。そんな暗号が広まったらアメリカの諜報活動が不能になってしまい、国家存亡の危機だというわけです。

「デセプション・ポイント」が面白かったので、デビュー作「パズル・パレス」を手に取ったのですが、比較するといまひとつ。ユーモアに欠けるし、気安く人を殺しすぎるし、素人のデイヴィッドを巻き込むのはあまりにも不自然だし、登場する日本人の名前が変。エンセイ・タンカドとトクゲン・ヌマタカは園聖単門、徳玄沼鷹? それと書名は、原題の「デジタル・フォートレス」(デジタルの要塞)のほうが格好いいと思います。

お勧め度:★☆☆☆☆

2012年2月 7日 (火)

トッカン VS 勤労商工会 (高殿 円)

『トッカン〜特別国税調査官』の続編が出ていたので読んでみました。東京の京橋中央税務署の徴収課を舞台にした経済小説+ミステリー。主人公の涼宮深樹は「トッカン」鏡 雅愛の部下となって2年目。相変わらず返答に詰まると「グ…」となるから通称「ぐー子」。

今回は冒頭から首吊り。鏡が滞納金について恫喝したのを苦にしての自殺だと勤労商工会が出てきて国を訴えるという大騒動に。しかし、当の鏡は「なにもするな」といって出張ばかり。ぐー子はひとりで日常業務をこなしつつも鏡の事件が気になって仕方がありません。ぐー子の失敗と活躍が見物です。

勤労商工会の弁護士・吹雪敦がぐー子を挑発する一方、助っ人として変なガイジン二人組が登場します。しかし、ぐー子は他にも仕事があります。バタバタ、くよくよ、めそめそ、開き直り…自分の居場所を探し求めるぐー子の姿がイジらしく共感を呼びます。

「なんかおかしい。怪しいぞ」と思っても、ぐー子はお人好しでスルーしますから、あなたがその人物を追いかけてみてください。

お勧め度:★★★★★

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2012年2月 5日 (日)

デセプション・ポイント (下) (ダン・ブラウン)

上巻の冒頭シーンでは、レイチェルが巻き込まれていく様子を笑っていられたのですが、下巻は笑えません。緊張の連続です。

北極の発掘現場でレイチェルが見たのは全長50センチのゾウリムシのような昆虫の化石。すでに数人の科学者が別個に調査、分析し、それは1億9千年前の隕石、すなわち地球外からの飛来物であると証言していたのです。大金を使いながら成果を挙げられないNASAを擁護する大統領は、この発見を起死回生の策として国民に発表するのですが、その頃、レイチェルはこの化石騒動がでっち上げではないかとの疑念を抱いていたのです。

そろそろプロローグの意味がわかってくるのですが、黒幕が誰なのか、その目的がわかりません。しかし、権力者あるいは権力者になろうとする者たちが考えているのは自分自身や組織の保身のみ。選挙に勝つためなら何でもするし、何でも差し出すという醜い面も見せられ閉口しました。

映画的な見せ方、スピード感、緊迫感、科学的考察の積み重ねによる謎解きなど、一流のエンターテイメント小説だといえるでしょう。夜中に読んでいても眠くならず、おかげで翌日は寝不足でした。(苦笑)

お勧め度:★★★★☆

2012年2月 3日 (金)

デセプション・ポイント (上) (ダン・ブラウン)

「ダ・ヴィンチ・コード」のダン・ブラウンの小説ということで手に取ってみました。いきなりショッキングなプロローグから始まるのがお約束なのでしょうか。

国家偵察局員レイチェル・セクストン、その父親であり上院議員(大統領候補)でもあるセジウィック・セクストン、ザカリー・ハーニー合衆国大統領、米陸軍特殊部隊デルタフォース等の場面が切り替わりながら物語は進んでいきます。

レイチェルは大統領に会うため迎えに来たのは米空軍戦闘捜索救難ヘリコプター MH-60G ペイヴホーク、到着した先で待ち受けていたのが大統領専用機 VC-25-A エアフォースワン。そして次に、NASA長官に会うため北へ3,000マイル(4,800km)移動するために乗ったのが F-14 トムキャット・スプリットテール。レイチェルいわく「翼の生えたミサイルね」。時速1,500マイルということは 2,400km/h。標準大気中の音速は1,225km/h だからマッハ2! これはライフル用7.62x39mm弾の初速に匹敵します。ド素人が高度1万メートル以上をマッハ2で2時間飛行するというのは想像を絶するものがあります。スターバックスで読んでいたので、レイチェルの戸惑いと悪態に笑いをこらえるのに苦労しました。

そうして到着した北極で、レイチェルはNASAが発見したという隕石を目にするのですが、そこからとんでもないことになっていくのでした。誰が何を企んでいるのか、何のために仕掛けたのか、誰が嘘をついているのか、疑心暗鬼のミステリー・ジェットコースターです。目が回りそうなのにページを繰る手が止まりません。

最初は上下巻なのでちょっと億劫だったのですが、一旦読み始めると上巻だけではやめられません。読むと決めたなら上下巻揃えておくことをお勧めします。

お勧め度:★★★★☆

2012年2月 2日 (木)

君と会えたから (喜多川泰)

17歳の夏休み、主人公は父親の代わりに書店の店番をしていたところ、同い年の少女と出会う。その少女が注文したいという本を読んでみたら…。

ひとことで言えば小説形式の自己啓発本なのですが、押し付けがましくないのがいい。長男にプレゼントしようと思います。読むかもしれないし、読まないかもしれない。なにかのきっかけになるかもしれないし、ならないかもしれない。それでも、なんらかの形で自分の考えを息子たちに伝えていくことは必要だと思うから。

お勧め度:★★★★★

2012年2月 1日 (水)

ダンタリアンの書架 2 (三雲岳斗)

「ダンタリアンの書架」第2巻です。これで全8巻読破となります。
  1. 荊姫
  2. 月下美人
  3. 等価の書
  4. 胎児の書
  5. ラジエルの書架

断章(ショートショート)として「恋人たち」と「必勝法」が挿入されています。

今回面白かったのは「等価の書」。ヒューイの幼なじみカミラが一冊の幻書を手に入れたことがわかって大騒ぎになる、わらしべ長者のような話。で、最後にカミラが手に入れたものは? いつも口が悪いダリアンの反応が愉快で愛らしい。

お勧め度:★★★★☆

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