イン・ザ・プール (奥田英朗)
伊良部総合病院地下の神経科はちょっと変わった先生がいます。ノックすると「いらっしゃーい!」。色白で太った37歳の精神科医・伊良部一郎は常にため口で、思ったことをそのまましゃべる。初対面の患者は等しく「こいつ馬鹿じゃないのか」と思います。お勧めのストレス解消方法が「繁華街でやくざを闇討ちして歩くこと」。理由は「命すら危ないときに、どうして家や会社のことなんかにクヨクヨできるのよ」。(おいおい) 「精神科医・伊良部シリーズ」の第3巻「町長選挙」を先に読んでから、この第1巻「イン・ザ・プール」に戻りましたが、とくに戸惑うことはありませんでした。
1話は水泳依存症、2話はタイトルのとおり。3話は自意識過剰なコンパニオン、4話は携帯電話依存症、5話は火の始末を何度も確認してしまう脅迫神経症。ビョーキな人たちがビョー的な精神科医に相談する物語であります。 医学的根拠があるのか、単に面白いように書いているだけなのかわかりませんが、多少神経が病んでも、治そうと思い詰めず自然体でいるのがいいみたい。そういう意味で伊良部先生は「人を深刻にさせない天性のキャラクター」なのですから名医、いや迷医なのでしょう。 お勧め度:★★★☆☆ |
« 町長選挙 (奥田英朗) | トップページ | 空中ブランコ (奥田英朗) »
「現代小説」カテゴリの記事
- さよならの夜食カフェ マカン・マラン おしまい (古内一絵)(2019.02.23)
- 利き蜜師物語2 図書室の魔女 (小林栗奈)(2019.02.19)
- 利き蜜師物語 銀蜂の目覚め (小林栗奈)(2019.01.24)
- 継続捜査ゼミ (今野敏)(2019.01.06)
- 愛なき世界 (三浦しをん)(2019.01.12)