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2012年1月21日 (土)

博士の愛した数式 (小川洋子)

交通事故の後遺症のために記憶が80分しかもたない元・数学者(博士)。通いの家政婦(私)と10歳の息子(ルート)は、博士から「神様の手帳」に書かれた数の真実について話を聞き、数学の世界に目が開かれていく。

以前読んだことがあるのですが文庫になっているのを見て再度手に取ってみました。学校の数学は苦手でしたが、数学をイメージとして把握して楽しむのは好きです。数学は新しいものを生み出すというより、世界に埋もれた真実を見つけ出す学問。その真実を、博士は「神様の手帳」に書かれているといい、家政婦の「私」は「神様のレース編み」という比喩がおもしろい。

友愛数、完全数、素数などをはじめてとしてオイラーの公式(等式)が紹介されます。

e^{i \pi} + 1 = 0\,

e は自然対数の底、i は虚数単位、πは円周率。異質な3つがひとつの等式として表されることを博士は伝えたかったのでしょう。世界は静かで、美しい、と。

社会的に弱い立場の人や不器用な人間を包み込むように優しく描く作者の代表作といってもいいのではないでしょうか。これも我が家の必読書とします!

お勧め度:★★★★★


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