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2012年1月 3日 (火)

六の宮の姫君 (北村 薫)

「ビブリア古書堂の事件手帖」(三上 延)で古書にまつわる事件(秘密)を解く話を読み「本つながり」で手に取りました。最初「なぜ創元推理文庫?」と疑問だったのですが、小説の表現を巡って作家の意図や背景を「推理」するものだったのです。

「六の宮の姫君」は今昔物語を下敷きにした、芥川龍之介の作品です。ちくま文庫の「芥川龍之介全集5」で14ページの短編。表面的には、ある姫君が没落していく悲劇なのですが、それを今昔物語と比較して「なぜ芥川はここを書き換えたのか?」と考えていくのです。

文学部4回生の「私」が卒論のテーマに芥川を取り上げるのですが、ある日、年配の作家から芥川に会ったときのことを聞かされます。「六の宮の姫君」のことを「あれは玉突きだね。…いや、というよりはキャッチボールだ」と言ったというのです。なるほど文学部というのはこういうことをやってるのか、と新鮮でした。国会図書館で書簡集まで調べて因果関係を、推理を交えて明らかにしていくのって知的好奇心を刺激されます。

芥川だけでなく菊池にも話が移って、結構本格的に掘り下げてくれるものでついていくのがしんどい部分もありました。でも、文芸春秋が芥川賞、直木賞を創設した経緯も知り、菊池寛を読んでみようと思うきっかけになりました。

あとで知ったことですが、これは北村薫の「(落語家)円紫さん」シリーズ(「空飛ぶ馬」「夜の蝉」「秋の花」「六の宮の姫君」「朝霧」)の4巻目。後日、1巻目も読んでみようと思います。

お勧め度:★★★★★

本書中でちらっと紹介された菊池寛の短編「身投げ救助業」を読んでみたくて鶴舞図書館で探しました。いちばん手軽な「ちくま日本文学」(文庫)の「菊池寛」には載っていません。「そりゃそうだろうな」と検索端末で調べてもわからず2階の日本文学の棚へ。しかし目的の短編がどこに載っているかはわかりません。司書さんに相談したほうが早いけど、できれば自力で調べたい。戻りかけると「芥川龍之介辞典」などという本が目につきました。年代や作品ごとに詳しく説明されています。こんな本があるくらいならと近くを眺めていると「作家名から引ける日本文学全集案内」という本を発見。菊池寛の「身投げ救助業」がどの本に収録されているかがわかりました。これは便利です。「ふるさと文学館 第30巻 京都1」に載っていました。「高瀬舟」(森鴎外)や「羅生門」(芥川龍之介)も収録されていて、地域別編集というのも面白い。「身投げ救助業」は、京都で自殺しようとしても鴨川では浅すぎて死ねなかったのが琵琶湖疎水ができて武徳殿(平安神宮の西隣)付近の橋から身を投げる人が増え、その近くの茶店の婆さんが長い竿で入水した人を助けては警察から一円伍拾銭をもらうというお話。あのあたりの疎水は深くて、飛び込むのは勇気が要ります。橋は木製からコンクリート製に変わりましたが、深さは当時も同じだったのでしょうか。菊池寛が京都の話を書いていると思ったら京大卒だったのですね。

もしや、と思ってネット検索したら青空文庫に「身投げ救助業」がありました。(とほほ)

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