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2011年12月25日 (日)

八朔の雪 〜 みをつくし料理帖 (高田 郁)

澪は10年前、8歳のとき、大坂で水害のため両親を亡くし、天満一兆庵のご寮さんに拾われました。一兆庵で女衆として働くうち、澪の天性の味覚を見出した主人の嘉兵衛が、澪を料理人として育ててくれました。その後、一兆庵は江戸にも店を出したのですが、若旦那・佐兵衛が借金をつくって失踪。江戸店を失い、嘉兵衛は失意のうちに亡くなったのでした。「いつか天満一兆庵を再興してほしい」という嘉兵衛の遺言を胸に、澪はご寮さん・芳とふたりで長屋暮らしをしているのでした。

まだ若く、未熟ではあるけれど、天性の料理人・澪が大坂から江戸へ出てきて、土地の味覚の違いに戸惑いながらも、すこしずつお客の心(舌)を掴んでいく物語。ふと韓国ドラマ「宮廷料理人チャングム」を思い出しました。宮廷ほどドロドロしていないものの、名料理店「登龍楼」の嫌がらせに澪はピンチに陥ります。

時代小説としては多少荒削りだけど初々しくて新鮮な文章。料理に真摯に取り組む澪の心情と、周囲に人間たちとの交流がほのぼのと描かれていて好印象。巻末には本書4編中で紹介された「ぴりから鰹田麩」「ひんやり心太」「とろとろ茶碗蒸し」「ほっこり酒粕汁」のレシピも載っています。大坂は昆布、江戸は鰹で出汁を取るなど、料理に関するうんちくも興味深い。そうそう、上等な昆布って高いんだよねぇ。澪が考えたとされる昆布と鰹の合わせ出汁の取り方を今度真似てみようと思ってます。

澪は「艱難辛苦」に堪え精進すれば「雲外蒼天」を見ることができると予言されています。2009年から年2冊ペースで刊行されていて、現時点で6巻まで出ています。「これは面白い!」と気に入った本に出会えたときはうれしい。しかもシリーズものであればしばらく楽しめます。(ささやかなシアワセ)

お勧め度:★★★★★

大学2年の長男が気に入ったようなので6冊とも送ってやりました。

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