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2011年11月

2011年11月29日 (火)

日暮らし (下) (宮部みゆき)

「ぼんくら」では曖昧になっていた湊家に関わる問題が明らかになります。やっとすっきりしました!
  1. 日暮らし(承前)
  2. 鬼は外、福は内

湊家総右衛門と妻・おふじ。彼らの息子宗一郎、宗次郎と娘おすず。そして総右衛門の妾・葵とその息子佐吉。佐吉の妻・お恵。別宅で暮らす葵の世話をするお六とふたりの娘。お六を付け狙うストーカー孫八。煮売家お徳と庖丁人・彦一、そしておまんとおさん。岡っ引き政五郎とおでこ。平四郎と甥の弓之助、等々。まだまだ登場します。

ミステリー(推理小説)は詳しくないのですが、推理するためには手がかりをひととおり見せておくものでしょう。そういう意味では「ぼんくら」「日暮らし」は新事実が発覚して話が転がっていくのですから推理しようがなく、ミステリーとはいえません。「一体誰が犯人(下手人)なんだ?」という疑心暗鬼がミステリアスではありますけど。

「ぼんくら」と「日暮らし」で1冊だと思ったほうがいい。そのほうが絶対面白い。「ぼんくら」だけだと中途半端なオチになるし「日暮らし」だけでは以前の話がわからないから100%楽しむのはむずかしい。

ぼんくら同心・平四郎シリーズ第3弾「おまえさん」が刊行されたようですが、これは湊家とは関わりのない別のお話のようです。

お勧め度:★★★★☆

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2011年11月27日 (日)

日暮らし (上) (宮部みゆき)

前作「ぼんくら」は事件の決着が中途半端で消化不良気味だったのですが、続編「日暮らし」では何がどうなるのか興味があって読んでみることにしました。上巻は以下の5章から成り、括弧内は主な登場人物をわたしが書き加えたものです。
  1. おまんま(おでこ、政五郎)
  2. 嫌いの虫(佐吉・お恵夫婦)
  3. 子盗り鬼(お六、孫八、葵)
  4. なけなし三昧(お徳、おみね)
  5. 日暮らし(お徳、葵、佐吉)

「ぼんくら」同様、いくつかの短編があわさって大きな流れとなっていく趣向。「日暮らし」は、蝉のひぐらしと(その)日暮らしをかけてあるんですね。平四郎の甥・弓之助はどう考えても子供にしては聡すぎますが、今度はあまりむずかしく考えずに、素直に楽しませてもらいます。

お勧め度:★★★★☆

2011年11月25日 (金)

ぼんくら (下) (宮部みゆき)

下巻は上巻の「長い影」の続き。「幽霊」はエピローグです。
  1. 長い影(7〜13)
  2. 幽霊

同心の平四郎と甥の弓之助、岡っ引きの政五郎らは、湊家総右衛門と妻のおふじに関わる過去を洗い出し、核心に迫っていきます。大勢が関わっているもので話が複雑です。最後に、平四郎は湊家総右衛門と対峙します。すべて承知したうえで平四郎はどんな「ぼんくら」裁きを下すのか?

上巻は面白かったのですが「長い影」に入ってから、すこしずつ憂鬱になってきて、読み終えてもすっきりしません。

これだけ延々と風呂敷を広げたのだから、さぞかし大がかりな仕掛けが明かされるのだろうという期待は外れました。たしかに事情は明かされたのですが「結局それだけのことかい!」と拍子抜け。

いまさら真実を明らかにしても誰も幸せにならないことは秘めたままにしておこうとする人情が時代小説の魅力のひとつですが、事実を公にせず曖昧なまま放置した部分が多いのは続編(「日暮らし」)を意識してのことでしょうか。まだ話は終わっていないのに勝手に幕引きされたような気分です。ひょっとして確信犯?

お勧め度:★★☆☆☆

2011年11月23日 (水)

ぼんくら (上) (宮部みゆき)

兄・太助とふたりで病床の父親を看病しながら八百屋を営んでいたお露が「殺し屋が来て、兄さんを殺してしまったんです」。鉄瓶長屋の差配人(いわば管理人)の久兵衛は、太助殺しの責任を取ると書き置きを残して姿を消し、その後も長屋の住人が櫛の歯が欠けるように減っていく。あらたに送り込まれた若い差配人・佐助は(住人が減った責任を感じて)落ち込んでしまう。ぼんくら同心・平四郎は事件を解決できるのか?
  1. 殺し屋
  2. 博打うち
  3. 通い番頭
  4. ひさぐ女
  5. 拝む男
  6. 長い影(1〜6)
宮部みゆきの時代小説は初めて読んだのですが面白い! よく考えてあることがびしびし伝わってきます。ところが、その一方で構成や展開に時代小説らしからぬものを感じます。茅葺き屋根の軽量鉄骨造長屋みたいな、表面だけ江戸時代風を装っているような感じ。記憶力抜群の小僧や、美形かつ推理力もある12歳の少年にも、ロボットか人形のような異物感を覚えてしまいます。たしかに優れたエンターテイメントではありますが、これが宮部流時代小説なのでしょうか。

上巻では時系列に6編の物語が収められていて、平四郎が不問に付した事柄があとになって「そういえば」と掘り起こされ「ちょっと調べてみるか」となるわけです。これは上巻だけでやめるわけにいきません。このまま下巻に突入します!

お勧め度:★★★★☆


2011年11月21日 (月)

紀伊ノ変 ~ 居眠り磐音 江戸双紙 36(佐伯 泰英)

年が明け、雪に閉ざされた姥捨の里で、おこんは長男・空也を産みます。喜びに沸く磐音ら一行。一方、高野山と雑賀衆が採掘、販売してきた丹(水銀の鉱石鉱物)を、幕府が丹会所を設立し販売を一手に牛耳ると通告してきました。雑賀衆を代表して草蔵は磐音を伴い高野山奥之院の光然老師を訪ねたのですが…。

舞台が名古屋から和歌山に移ってきました。磐音は、空也の誕生、田沼意次が放つ刺客との戦い、幕府の丹会所設立の阻止、和歌山藩の後継問題などで忙しい。一方、江戸では、仲人の磐音とおこんが江戸を出奔したため、品川柳次郎がお有と祝言を挙げるのをためらっていたのですが、磐音からの手紙がきっかけで転がり始めたようです。あっちこっちの出来事を動かし続けないといけないから作者も大変です。それと磐音は、のちの伏線となりそうなキーパーソンに都合よく出会うことになっているようで、それによって「ありえない展開」が可能になります。「小説とはフィクションだ」ということを強く感じる時代小説です。

お勧め度:★★★☆☆

2011年11月19日 (土)

姥捨ノ郷 ~ 居眠り磐音 江戸双紙 35(佐伯 泰英)

久しぶりの時代小説です。いいですねぇ。甘いもの(ラノベ)ばかり食べていると和食が新鮮、みたいな。今時のラノベは言葉遣いが(わざと?)乱れているけれど、時代小説には男言葉、女言葉がちゃんとあって、言葉少ななのに、ずばりと心情を表してホロリとさせてくれます。日本語は多様です。

さて、磐根はひとつところに落ち着くことのできない運命にあるようです。1巻で故郷を出奔し江戸で浪人暮らし。そして33巻で江戸を離れて刺客から逃避行中。

名古屋滞在中の磐音とおこんは以前として大変です。田沼意次の刺客が尾張藩道場に乗り込んで来て磐音に勝負を挑み、返り討ちに遭ったものの、磐音の身分を明かしてしまったのです。田沼に取り潰された佐々木道場の後継だということが公になってしまったため、このままでは尾張藩に迷惑がかかってしまう。そこで磐音はあえて身重のおこんを連れて尾張をあとにすることにしたのですが…。

江戸では、今津屋には磐音の消息を尋ねる人物が訪れ、(おこんの父)金兵衛、幸吉、竹村武佐衛門の3人はおこんの安産を願い大山参りの珍道中。土佐の利次郎と筑前の辰平は磐音の力になろうと算段。懐かしい面々が登場します。なんといってもおこんのお産が近いため、派手な立ち回りができません。尾張を出て探し求めた、一時の安住の地が「姥捨ノ郷」だったのです。次巻が楽しみです。

お勧め度:★★★★☆

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2011年11月17日 (木)

箱庭図書館 (乙一)

集英社のホームページ「オツイチ小説再生工場」でリライトされた投稿小説6本をまとめた本。本来バラバラの話のはずなのに、人、アイテム、場所などがすこしずつ共有されていて奇妙な一体感があります。
  1. 小説家のつくり方
  2. コンビニ日和!
  3. 青春絶縁体
  4. ワンダーランド
  5. 王国の鍵
  6. ホワイト・ステップ

乙一の作品(といえるのかどうか)を読むのは初めて。再生された投稿小説を集めた本ということで興味を持ちました。結果、面白かったです。最後の「ホワイト・ステップ」が。

他の話は強盗だったり殺人だったりピンと来ませんでしたが、がんばって最後まで読んでよかった。人と場所を共有しているので「ホワイト・ステップ」のプロローグだと思って最後まで読むことをお勧めします。(失礼>作者さん)

「ホワイト・ステップ」は雪のうえに残される靴跡をめぐる不思議な物語。わたしたちが「あの世」と呼んでいるのはパラレルワールドなのかもしれませんね。

お勧め度:★★★★☆

2011年11月15日 (火)

スイート・ホーム殺人事件 (クレイグ・ライス)

ミステリー作家の母親と暮らすダイナ14歳、エイプリル12歳、アーチー10歳。ある日、隣の家から銃声が聞こえ、サンフォードの奥さんが殺されてしまいます。でも、銃声は2発聞こえた。もう1発はどこへ? 自分たちで事件を解決して母親の手柄にし、推理小説の宣伝になれば、毎晩遅くまでタイプライターにかじりついていなくても済むようになるのでは?と子供たちは考えて行動開始!

映画「ホームアローン」を思い出しました。自宅でひとりで留守番する羽目になった男の子が二人組の強盗を知恵と勇気で懲らしめるお話。しかし、こちらは3人組。長女ダイナはおっとりタイプ。次女エイプリルは茶目っ気たっぷりで機転が利き、長男アーチーは姉たちに勝てないのが不満だけど行動力抜群。母親に内緒で事件の手掛かりを追って警官までをも手玉に取ってしまいます。子供って怖い。(笑)

なにが怖いって、子供なのにお隣さんが銃で殺されたことにショックを受けないし、銃弾を平然とオモチャにしてる。いかにもアメリカらしい。ついでに母親のロマンスの手伝いまでして、すべてにおいてユーモアたっぷり。殺人事件を子供たちの目線で陽気に切り取って見せてくれます。笑いながら読めるミステリーです。

お勧め度:★★★☆☆

2011年11月13日 (日)

俺の妹がこんなに可愛いわけがない 5 (伏見つかさ)

突然アメリカにスポーツ留学してしまった妹・桐乃。新学期、高校3年になった京介に「おはようございます、先輩」と声をかけてきたのは制服姿の黒猫だった!

今回、桐乃はお休みして、黒猫がメインキャラとなって動き回ります。が、学校でもぶっきらぼうな態度は変わらず、クラスでも孤立していく黒猫。京介はなんとかしようと(迷惑がられながらも)あれこれ世話を焼いて…ゲーム研究会で同好の士を探してはどうかと提案します。そこで出会った女子がまたとんでもない奴で…。

登場キャラは毒舌、変態、潔癖性など極端な連中ばかり。考えてみると比較的まともなのは京介と幼なじみの真奈美くらい。どんなに蔑まれても挫けない京介は偉大です。(笑)

お勧め度:★★★★☆

2011年11月11日 (金)

俺の妹がこんなに可愛いわけがない 4 (伏見つかさ)

第3巻の最後で桐乃いわく「人生相談、次で最後だから」。一体なんだろうと戦々恐々の京介。大体こいつの人生相談はロクなもんじゃねぇ。

桐乃の「携帯小説発売記念パーティ」を開こうと相談する京介、沙織、黒猫。桐乃が喜びそうなプレゼントを獲得すべく、京介はあやせとコスプレ大会の優勝商品の限定フィギュアを狙う。あやせの手際の良さは素晴らしく、いろんな意味で恐ろしい女子。パーティ当日、会場に入った京介は目を疑うことに…。

この4巻で、桐乃の趣味のドバタバは一段落。5巻のヒロインは黒猫になるようです。それも楽しみ!

お勧め度:★★★☆☆

2011年11月 9日 (水)

俺の妹がこんなに可愛いわけがない 3 (伏見つかさ)

自宅に遊びに来た黒猫は桐乃の携帯小説について大喧嘩。板挟みの京介は、おっとり系幼なじみの田村真奈美ん家でのんびり、まったり骨休め。京介にとっては桐乃がいる自宅よりも落ち着くみたい。おまけに田村家では真奈美とは公認の仲。

今回は携帯小説が出版される?というお話に京介が巻き込まれます。桐乃は取材と称して京介を渋谷に引っ張り出して…おい、そんなところに入るのはさすがにマズいだろ?

桐乃から見た両親、兄、友達、趣味の仲間といった「人間関係」と、桐乃の「趣味」が軋轢やら抵抗、衝突、照れ隠しが渦巻く、ささやかな事件が起こるというのがパターン。桐乃は態度が悪いし、黒猫は感情表現が下手だし、沙織は何考えてるかわからんし、でも必死になってるところが可愛い。ここは京介氏が大人にならないと仕方ないですね。

お勧め度:★★★★☆

2011年11月 7日 (月)

俺の妹がこんなに可愛いわけがない 2 (伏見つかさ)

桐乃は手頃な対戦相手にしようと、京介に「真妹大殲シスカリプス」のクリアを命じる。が、そもそもTVゲームにすら縁のない京介にはなにがなにやらさっぱりわからんうちにゲームオーバー。沙織と黒猫という仲間ができたんだから、兄は解放してあげればいいものを。このあたり、兄さんに甘えてますな。(ゼンゼン素直じゃないけど)

夏コミというイベントも縁がないのですが、東京の人ごみだというだけで腰が引けます。それでも、桐乃は沙織、黒猫、京介とともに参加。あ〜、楽しかった!のは大変結構ですが、帰りに桐乃は親友の新垣あやせに「趣味」がバレてしまい絶好状態に…。

どんな趣味だってひとりじゃつまらない。だけど公言しにくい趣味は困りますね。最近はネットで仲間を見つけるのでしょうか。「オフ会」というのも懐かしい。Apple ][、MacintoshやNeXT Computer関係の仲間と集まったことが思い出されます。パソコンが一般に普及する前のネット仲間は濃かった。世界が広がりました。

桐乃たちの趣味も珍しくなくなってきたとは思うのですが、高校生が18禁ゲームを楽しむのは公言できませんな。(苦笑)

お勧め度:★★★☆☆

2011年11月 5日 (土)

俺の妹がこんなに可愛いわけがない (伏見つかさ)

兄・京介17歳、ごくごくふつーの高校生。妹・桐乃14歳、中学生にして美人、頭脳明晰、スポーツ万能。いいところは全部妹が持っていった感じ。ところが、兄に対して悪口雑言三昧。態度が悪いなんてもんじゃない。殴ってやりたいくらい上から目線。その妹に、両親はもちろん、親友にも明かせない秘密があって、どういうわけか大嫌いな兄に「人生相談」を持ちかけてきたのです。

姉妹も娘もいないので実感が湧かないのですが、今時の妹ってこんなに可愛くないものなんですか? 裏表がありすぎです。「なんか、感じ悪いなぁ。読むのやめようかな」と思っていたら、桐乃が予想外のカミングアウト! これがすべての始まりでした。

程度の差こそあれ、オタクと変態は紙一重。共感を覚える方もいらっしゃるのではないでしょうか。「そんなゲーム、見たこともない」という方は向学のため(?)、ご一読あれ。言ってみれば桐乃の弱みを掴んだ京介ですが、真面目に力になろうとするあたり、兄妹の関係が変化していくかもという期待を抱かせるあたり、意外と面白いですよ。

お勧め度:★★★★☆

2011年11月 3日 (木)

とある飛空士への夜想曲 (下) (犬村小六)

神聖レヴァーム皇国軍の「海猫」との対決を望む帝政天ツ上軍の撃墜王・千々石。ラノベとしては女っ気のない、硬派な展開。太平洋戦争における日本軍とアメリカ軍の戦いをなぞるように、物量戦と電子戦によって押されていく天ツ上軍。現代の中高生にとっては戦争もかっこよく映るのでしょうか。ほんとうは愚の骨頂なのに…。

後半になってようやく、千々石の幼なじみの歌姫ユキが登場。千々石は、まるで特攻する零戦乗りのセリフを残して戦場に飛び立っていきます。しかし、ユキに関するオチは使い古されたもの。この作者、文章は上手なんだけどなぁ。

戦争は人命、国力、経済力の無駄。もっと有意義なことに使わなくちゃ!というようなことが脳裏にちらついて、物語を素直に楽しめませんでした。(ごめんなさい>作者)

お勧め度:★★☆☆☆

2011年11月 1日 (火)

さくら荘のペットな彼女 5.5 (鴨志田一)

「さくら荘のペットな彼女」初の短編集。表紙はずっとましろが独占していたのですが、今回は美咲先輩です。
  1. 神田空太の普通な一日
  2. 三鷹仁の大人への階段
  3. 青山七海の乙女なクリスマス
  4. もうひとつのクリスマスイブ
  5. 住めば都のさくら荘

1巻では、ましろの生活破綻ぶりが新鮮だったし笑えたのですが、5巻までにずいぶん生活に適応できるようになってつまらなくなっていたので、そういう意味では「神田空太の普通な一日」は一服のビタミン剤です(笑)。

仁と美咲のひねくれた関係も、ここまで引っ張られると飽きてきたので2章はパス。3章は七海のツンデレぶり、4章はその他のメンバーのクリスマスを描いています。最後の5章は、空太がさくら荘に住むことになった顛末です。面白かったのは1、3、5章かな。

なんだか「ペットな彼女」もこれでひと区切りついたような気がします。

お勧め度:★★★☆☆

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