« 2011年8月 | トップページ | 2011年10月 »

2011年9月

2011年9月29日 (木)

ダンタリアンの書架 1 (三雲岳斗)


ヒューイは祖父から屋敷と膨大な蔵書を引き継いだ。その条件が「ダンタリアンの書架を引き継ぐこと」そして「ダリアンを頼む」。屋敷の地下で人形と見紛う少女と出会い、ダリアンというのはペットかなにかだと思っていたヒューイに向かって「この…馬鹿孫!」。口が悪く、尊大で、食いしん坊。ヒューイはこのダリアンと共に「幻書」をめぐる事件に立ち向かっていくことになるのです。

「少女ノイズ」の作者・三雲岳斗が書いたライトノベルということで興味を持ちました。こちらはダークファンタジー。美少女が物語の鍵を握っているのはラノベのお約束。

このダリアンも「彼女は戦争妖精」シリーズのクリスも、人間じゃないのに、人間よりも人間臭く、ふつうの女性よりも女らしい。これが、リアル(現実)に期待しなくなった男たちの憩いの場? しかし、悪魔の図書館に収めるべき幻書が引き起こす事件は血なまぐさいものが多く、ストーリーはすべからく超現実。でも、これが意外と面白いのです。気に入りました。

現在放映されているアニメも面白いので、そちらもあわせてどうぞ!

お勧め度:★★★★☆

続きを読む "ダンタリアンの書架 1 (三雲岳斗)" »

2011年9月27日 (火)

ラブコメ (松久淳+田中渉)

「天国の本屋」シリーズの作者の「ラブコメ」ということで読んでみたのですがハズれました。

序盤を少しずつ細切れで読んだせいか、どこまでが現実で、どこがアニメ脚本の話だかわからなくなりました。「天国の本屋」では絶妙の構成を見せてくれたから、たぶんこれもしっかり構成を考えたんだろうけど、考え過ぎ。おまけに「(この真相はずっと先になってから明らかになります)」などと余計な作者目線が入る。

ヒロイン真紀恵は人形町の花屋の店長25歳で、美人だけど男まさりで(と、ここまではいいんだけど)西島とかいう変なオジさんが絡むし、美晴って女かと思ったら男だし、男なのに女々しいし、怪しい飲み屋が出て来るし、4分の1ほど頑張って読んだのにちっともラブコメにならないし「もうムリ!」。

しかし「ここまで読んだのに」悔しいから半分近くまで斜め読みしてたらようやく面白くなってきて、その後、真紀恵が出てくるところだけ拾い読み。一応オチはついてるけれど「これがラブコメ?」という疑問は拭えませんでした。アニメやラノベのラブコメを期待してはいけません。


続きを読む "ラブコメ (松久淳+田中渉)" »

2011年9月25日 (日)

かのこちゃんとマドレーヌ夫人 (万城目 学)

「鴨川ホルモー」「プリンセス・トヨトミ」の万城目 学の作品ということで手に取ってみました。結果は大正解!

かのこちゃんは小学校に上がったばかり。家族は、両親と老いた柴犬の玄三郎と、その妻マドレーヌ。犬と猫が夫婦!? マドレーヌはメス猫なのですが「外国語」が話せるので犬である玄三郎と意思を通じることができるのです。

不思議なマドレーヌも面白いけれど、なんといってもかのこちゃんがいい味出してます。まだ小1だけど優しくて賢い。父親いわく「かのこ」という名前は「鹿に教えてもらった」とか。それはきっと「鹿男あをによし」に出てきた鹿でしょう。

人間と動物の世界を分け隔てなく描いた人情噺、猫の恩返し。そう、ジブリのアニメにしてほしいような隠れた名作。お勧めです!

お勧め度:★★★★★

2011年9月23日 (金)

彼女は戦争妖精 小詩篇2 (嬉野秋彦)

ルテティアがフランスから日本の伊織のところへ転がり込んでくることになった経緯を描いた「Lebor Gruagach 〜 うるわしき乙女の書」。そのルテティアのアドバイス?に従って、自分を変えようとするさつきの奮闘を描く「Lebor Cyhiraet 〜 死を告げる女の書」。

危なっかしい二人の少女について、本編では語られない部分が見えてきます。さつきとルテティアのファンの方にお勧めします。

お勧め度:★★★☆☆

2011年9月21日 (水)

彼女は戦争妖精 7 (嬉野秋彦)

吟遊詩人イソウドは伊織を「退場」させようと奸計を巡らします。一方、伊織の曾祖母が登場し、クリスをひと目見るなり「あら、妖精さん」だって。いい感じのおばあちゃんです。

伊織たちが一体どういう世界に巻き込まれたのかがすこしずつ明かされていきます。ここまで来るともう目が離せません!

お勧め度:★★★★☆

2011年9月19日 (月)

彼女は戦争妖精 6 (嬉野秋彦)

「吟遊詩人」たちは「楽園」を目指そうとしない(つまりウォーライク同士で戦おうとしない)ロードをなぜか「死の蛇」と呼んで忌み嫌います。アイルランド、妖精とくると…ケルト神話? そういえば「イソウド」という吟遊詩人もワーグナーの楽劇「トリスタンとイゾルデ」の(後者の)フランス語読み。

いろんなロードとウォーライク、吟遊詩人が登場してきましたが、主立ったメンバーは伊織+クリス、常葉+リリオーヌ、薬子、イソウドといったところ。読みやすいのでサクサク進みます。

お勧め度:★★★★☆

2011年9月17日 (土)

彼女は戦争妖精 5 (嬉野秋彦)

4巻のドサクサ紛れで、さつきもロードになってしまい、伊織も彼女を避けてばかりいられなくなります。「妖精の書」争奪戦は意外な方向に転がり、その一方で「吟遊詩人」なる(滅法強い)連中が登場し、物語は新たな展開を見せます。伊織の叔父さんが帰国しましたが、だからといって何も変化はありません。

ほんとうは5巻の前に、短編集の「小詩編1」があるのですがスルーしました。そして5巻の後に「小詩編2」があって6巻へと続きます。要するに番外編なので飛ばしても本編には影響ないかな、と。

さくさく読めるのが気持ちよくて、結構気に入ってます。

お勧め度:★★★★☆

2011年9月15日 (木)

彼女は戦争妖精 4 (嬉野秋彦)

父の捜索願を出して7年、伊織は叔父の勧めに従って、父の失踪宣告手続きを済ませます。一方、伊織とクリスのまわりには「妖精の書」を狙うロードとウォーライクたちが忍び寄ってきます。伊織に恨みをもつパトリックはルテティアをさらって「妖精の書」を要求します。クリスが送られて来た棺に隠されていた白紙の本がそれだろうと伊織は…。

戦争妖精(ウォーライク)、楽園(エリジウム)、妖精の書(レボル・シオグ)、語り部(フィリ)と、実体のわからない謎が増えていく一方です。おまけに(予想どおり?)クリスはなにやら特別なウォーライクのよう。戦いも派手になってきて、ここまで来ると伊織も人間離れしてます(おまえはゾンビか?)。

ぶつぶつ言いながらも続巻を読んでいるのはなぜか? ひとつは、章立てがすっきりしていて読みやすいこと。素早い展開に引き込まれているうちに章が終わって「さて、次はどうなるのかな」。もうひとつは、とぼけたクリスとのコメディパートと、シリアスなバトルパートとのギャップが大きく、メリハリがついていることでしょうか。クリスやルテティアに喰わせる食事をつくる「クッキングコーナー」も個人的には興味があります。

もはや伊織の父親や叔父のことはどうでもよくて「面白ければいいや!」。やはり、これがラノベの楽しみ方?

お勧め度:★★★★☆

2011年9月13日 (火)

彼女は戦争妖精 3 (嬉野秋彦)

2巻のラストで登場した美少女ウォーライク・ルテティア。クリスをさらって逃げた彼女が投げた携帯電話に出ると、相手は叔父・頼通だった。「俺では守ってやれないから、おまえがルゥを守ってやってくれ」。ところが伊織はルテティアの図々しさに閉口。一方、ヨーロッパから来日したロードとウォーライクは「書」を探している様子。それが伊織やクリスと何か関係があるのか…。

ロードとウォーライクが増えてきて話がややこしくなってきました。あとがきによると、消えるべきウォーライクが担当編集者の「もったいないですね」の一言で生き延びているとか。それ、混乱の元です。

ジェイムズ・P・ホーガンのハードSF「星を継ぐもの」を読んだ直後なので、ラノベが余計に「軽く」感じます。血みどろの戦いを見せずとも緊迫感は出せるはず。方向性が違うとはいえ「小説」です。「売れればいい」だけでは読者がついていきません。ラノベを息子たちに勧めるとしても、それは「面白かったから」であって「読んでおくべき」ラノベにはまだ出会っていません。20年後、30年後にどれだけのラノベが読まれているか興味があります。

お勧め度:★★★☆☆

2011年9月11日 (日)

彼女は戦争妖精 2 (嬉野秋彦)

「鞘の主」(ロード)はウォーライクを武器として戦い、相手のウォーライクを倒すことで自分のウォーライクは強くなり、やがて「楽園」に旅立つのだといいます。いかにもラノベのために考えたような唐突な設定に抵抗を感じますが仕方ありません。ウォーライクを倒されたロードは記憶を失い、普段の生活に戻るという設定は(作者にとって)後腐れがなく好都合です。

ウォーライクは人間ではないのですが、多くは(クリスのように)美少女で、おまけに大喰らい。「ダンタリアンの書架」のダリアンに似ています。食いしん坊はご愛嬌。

この物語の主人公は無愛想な宮本伊織と、そのウォーライクである金髪碧眼美少女クリス。彼らが知り合った人間が「じつはロードだった」ということでバトルになり、負けたほうは舞台から退場するという展開は当然予想されたもの。読者の度肝を抜くなような、新たな展開を期待します!

お勧め度:★★★☆☆

2011年9月 9日 (金)

彼女は戦争妖精 1 (嬉野秋彦)

行方不明の父親から7年遅れで届いた荷物を開けてみると、アンティークな黒塗りの棺が出てきた。そのなかには金髪碧眼のビスクドールが…。そして「この娘を頼む」という手書きのメモが入っていた。

高校一年の宮本伊織は無口で無愛想。友達はいるけれど、他人とは一定の距離を保つのが性となっていた。…のですが、生活力皆無のうえ、騒々しく大喰らいのクリスが転がり込んできて生活は一変します。ふたりのやりとりが可笑しくて冒頭から引き込まれてしまいます。

「このままラブコメでもいいな」と思っていたところに、いきなり槍を振り回す男が現れて、平穏は崩れ去りました。タイトルに「戦争妖精」とあるくらいですから無事では済まないんだろう、と覚悟はしてましたけど。

どうしてこう剣を振り回す、血なまぐさい話が好まれるのでしょう? 巻き込まれ型の場合、戦う理由が曖昧だと読むのを断念するのですが、伊織の場合は、失踪した父親の情報を得られるかもしれないという期待からクリスを手放せないといいます。真実がどうであれ、ろくでもない父親であることは間違いありません。

それにしても、子供の喧嘩で済むはずのところ「妖精」のおかげで殺し合いになってしまうわけですから物騒な、至極迷惑な存在です。こんなでたらめなストーリーにどうやってオチをつけるのか興味があるので続巻も読んでみようと思います。(笑)

お勧め度:★★★☆☆

2011年9月 7日 (水)

星を継ぐもの (ジェイムズ・P・ホーガン)

UNSA(国連宇宙軍)は、オレゴン州ポートランドにあるIDCCが開発した透視分析装置トライマグニスコープの貸し出しと、技術者の派遣を「至急」要請してきた。月の裏側の洞窟で発見された、真っ赤な宇宙服を着た死体の分析を行うためにイギリスからやって来たヴィクター・ハント博士の視点で謎が解き明かされていきます。

調査の結果、その死体(以下チャーリーと呼ぶ)は生物学的には現代の人間と変わりはない。問題は、彼が5万年前に死亡していたという事実。チャーリーはどこで生まれ、どうやって月まで来て、なぜそこで死んだのか。彼の所持品の中から手帳に目をつけたハントは言語学班に解読を依頼します。分析は困難を極めますが、手帳の表を見た女性スタッフの「それ、カレンダーじゃない?」という一言から、ハントは仮説を立て徐々に謎を解いていきます。

限られた手がかりから謎を解いていく過程がリアルで、じんわりと面白いのです。そして、ひとつ明らかになると、新たに謎が増えてしまうジレンマ。生物学班、数学班、物理学班等、バラバラに調査していては効率が悪いうえに「結果ありき」で証拠固めに走るグループまで出てきます。このあたりは日本の検察の問題、つまり「まず犯人ありき」で事件の筋書きを決めてかかり、それに不利な証拠は消してしまうという「事件」を思い出します。

一方、木星の衛星ガニメデの地下で、巨大宇宙船の残骸が発見され、調査のためハントが派遣されます。これはチャーリーとなにか関係があるのか…。

ハードSFと呼ばれるだけあって読み応えがありましたが、退屈することなく驚愕のラストまでたどり着きました。これは一度は読んでみるべきです。

お勧め度:★★★★★

続きを読む "星を継ぐもの (ジェイムズ・P・ホーガン)" »

2011年9月 5日 (月)

フルメタル・パニック〜マジで危ない九死に一生 (賀東招二)

懐かしい! 千鳥かなめと相良宗介のドタバタコンビが「ふもっふ」のボン太くんと共に戻ってきました。以下、5本の短編を収めています。
  1. 与太者のルール(前編)[かなめ、宗介]
  2. 与太者のルール(後編)[かなめ、宗介]
  3. ご近所のサーベイヤー [かなめ]
  4. つぶらなテルモピュライ [宗介、かなめ]
  5. テッサのお墓参り [テレサ・テスタロッサ]

上記タイトル後の[]内は主な登場人物。わたしは「テッサのお墓参り」が気に入りました。艦長という任務から解放されたテッサのその後が描かれていて、読者としても肩の荷が下りました。テッサが大型冷蔵庫と称して持ち込んだ荷物はなんと…!

あとがきで作者も書いていますが、たまにこういうのも「同窓会」みたいで楽しい。期待してます!

お勧め度:★★★★☆

2011年9月 3日 (土)

天国の本屋 3 〜恋火 (松久淳+田中渉)

花火師の男とピアニストの翔子の哀しい恋を軸に、幼い頃に翔子のピアノと出会った健太と、翔子の姪の香夏子が活躍します。健太はピアニストの職を失ったところ、例によってヤマキに誘われ天国の本屋へ。一方、香夏子は商店街を盛り立てるため花火大会を再開しようと奔走します。

「天国の本屋」も3巻目。作者も手慣れてきたのか、見事な構成ときれいな展開を見せてくれます。ふたりで見れば恋が成就するという「恋火」は夜空に咲くのでしょうか。

竹内結子主演の映画も見てみたいものです。

お勧め度:★★★★★

2011年9月 1日 (木)

天国の本屋 2 〜うつしいろのゆめ (松久淳+田中渉)

「天国の本屋」シリーズ第2弾。イズミが金持ちの男とハワイへ婚前旅行に出発しようとしている空港ロビーで、アロハシャツを着た爺さんが現れ「この人、結婚詐欺師ですよ」。その一言ですべてがパー! 直後、金持ちの男の誘拐を目論む犯人が…。

アロハシャツに麦わら帽子のヤマキがイズミに勧めた仕事は「お手伝いさん」。その家の主に立ち退きを認めさせれば大金が手に入ると聞いて俄然やる気になったものの、主は偏屈爺さん。あらゆる事に文句をつけてくるのですが、イズミはなぜか家事が楽しくなってきて、小言も聞き流せるようになってきます。

今回の朗読は「スーホーの白い馬」。我が家でも子供たちが小さい頃、何度も読み聞かせした絵本です。ヤマキがスカウトした人物はみんな朗読が上手なようです。

大事なのは、そこが現世なのか、あの世なのかではなく、誰と出会い、どう接するかなのだと気づかせてくれるストーリー。ほんのり胸が暖かくなる一冊です。

お勧め度:★★★★☆

« 2011年8月 | トップページ | 2011年10月 »