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2011年6月11日 (土)

TSUGUMI (吉本ばなな)

主人公のつぐみは18歳。海辺の山本屋旅館で家族と暮らしている。「つぐみは生まれた時から体がむちゃくちゃ弱くて、医者は短命宣言をしたし、家族も覚悟した。そこでまわり中が彼女をちやほやと甘やかし、母親は労を惜しまず日本中の病院に付き添い、少しでもつぐみの寿命を延ばそうと力をつくした」結果、「つぐみは意地悪で粗野で口が悪く、わがままで甘ったれでずる賢い。人のいちばんいやがることを絶妙のタイミングと的確な描写でずけずけ言う時の勝ち誇った様は、まるで悪魔のようだった」。

語り手は白河まりあ、19歳。現在は東京の大学生。夏休みに山本屋旅館に泊まりにきて、幼なじみのつぐみやその姉の陽子らと過ごすうち、犬を連れた恭一に出会い、つぐみは恭一に恋をするのです。つぐみのストレートな告白には驚きましたが、それに動じない恭一もたいしたもの。男女の関わりだからと茶化さない小説にホッとしている自分がいます。

「キッチン」につづく2冊目の吉本ばななでしたが、とんでもなく性格の悪い人物を描いているわりに透明感があって、読後感もさわやかなのが不思議です。

お勧め度:★★★★☆

性格の悪い女主人公といえば「童話物語」(向山貴彦著)のペチカを思い出します。性格が悪いというと悪人のように思われるけれど、後先考えない正直さを持っていて、あえて良識というブレーキを外しているのではないでしょうか。ある意味、非常に人間臭いキャラです。実際に相手をするのは大変だろうけれど、つぐみ同様、小説の中であれば許せてしまいます。

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