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2011年6月 9日 (木)

キッチン (吉本ばなな)

祖母を亡くした女子大生・みかげは、祖母と仲の良かった近所の大学生・雄一に拾われ、その母親(じつは女装、整形した父親)と3人で暮らし始めます。時の流れの中で、家族を失い、孤独に苛まれるみかげと雄一。ふたりは友達以上、恋人未満の微妙な関係。みかげが好きなのは台所。大学を辞めて料理の道へ進むことにしたのです。

「感受性の強さからくる苦悩と孤独にはほとんど耐えがたいくらいにきつい側面がある。それでも生きてさえいれば人生はよどみなくすすんでいき、きっとそれはさほど悪いことではないに違いない。もしも感じやすくても、それをうまく生かしておもしろおかしく生きていくのは不可能ではない。そのためには甘えをなくし、傲慢さを自覚して、冷静さを身につけた方がいい。多少の工夫で人は自分の思うように生きることができるに違いない」という信念を伝えたかった、と作者は文庫版のあとがきに書いています。

村上春樹のような「文学的な」文体が顔を見せます。でも、それは澄んだ、透明な苦悩をあらわす言葉。いわゆる「ふつうの幸せ」に甘んじることのできない女性たちの悩み、苦しみ、孤独が綴られています。

薄い文庫本なので、まだ読んだことのない方は一度手に取ってみてはいかがでしょうか。

お勧め度:★★★★☆

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