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2011年4月

2011年4月29日 (金)

神様のパズル (機本伸司)

K大学理学部4年の綿貫基一は量子力学1と卒論に卒業がかかっているし、就職活動もしなければならない。そこにゼミの担当教授から「お願い」をされる。不登校の天才少女・穂瑞沙羅華(ほみず さらか)をゼミに出るように説得してほしいというのだった。そんなとき、聴講生の老人から「宇宙は無から生まれたって本当ですか? もしそうなら宇宙を作ることはできますか?」。そのことを穂瑞に話すと、ゼミに現れて、綿貫とふたりで「宇宙は作ることができる」ことを証明することになったのだが…。

K大学というと、わたしの場合「京都大学」が思い浮かぶのですが「関西の私立大学らしい」とか。K大学なんて山ほどあって、そこから理学部のある大学を調べてたら疲れました。作者の母校である甲南大学理学部じゃないでしょうか、たぶん。でも小説には関西弁(神戸弁)があまり出てこないんだよなぁ。

「無ならどこにでもあるから宇宙を作れるはずだ」といえば、そうかなと思うけれど「ビッグバンを起こせるか」と言われると超高温かつ超高密度の状態を作るのは難しいだろうと、素人でも考えます。ディベートとして論じることで物語として成立させているのは上手いと思います。フィクションではありますが、物理学に興味のある方は楽しめることでしょう。

沙羅華は(母親が優秀な精子を買って)人工授精で生まれた天才児。父親がいないことにコンプレックスを持ち、学校ではいじめに遭い、教師を含めても興味のある対象の話ができる相手もいない孤独な境遇で育ってきました。16歳のかわいい少女ということですが、男言葉でぶっきらぼう、愛想ゼロでは誰も近づかなくなるでしょう。

それでも「綿さん」と呼ばれて彼女に認められた気配の綿貫くんが奮闘して物語は佳境へと向かいます。ある部分「神様のメモ帳」のアリスとナルミの関係に似ています。まだアリスのほうが愛嬌があるかな。(ラノベだし)

お勧め度:★★★★☆

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2011年4月27日 (水)

ダーリンの頭ン中 2 (小栗左多里&トニー・ラズロ)

「ダーリンは外国人」シリーズの語学コミック編 第2弾。今回は話題の幅が広がり、世界のじゃんけん、ケチャップの語源、トイレのことを何というか、暦の話、語呂合わせ、トンパ文字、最後は人工言語エスペラントまで。

面白かったのが、英語のアルファベットの話。A、B、C …エー、ビー、シーという読み方が実際に単語で使われるときの音と異なることにトニーは不合理だと主張します。とくに「Hて何だろう。エイチなんて意味わかんない」。おまけに「あと、いらない字があります。少なくともQとX」。大胆な発想!

読み応えのある雑学漫画です。「ダーリンは外国人」シリーズのファンの方はぜひ一度ごらんになってみてください。

お勧め度:★★★☆☆

2011年4月25日 (月)

ダーリンの頭ン中 (小栗左多里&トニー・ラズロ)

「ダーリンは外国人」シリーズの語学コミック編。トニーはハンガリーとイタリアのハーフで、アメリカで教育を受けた語学オタク。「THE」は母音の前ではザではなくジと読むと(わたしたち日本人は)学校で教わったけれど、ネイティブは「どっちでもいい」。逆に、わたしたちが「するめです」というとき、最初の「す」と最後の「す」の発音は違うとか、日本語を学ぶ人から見た苦労や発見が新鮮です。

この漫画を読んでも英語の勉強にはなりません(キッパリ)。でも、言語にまつわる雑学を楽しむことができます。「ダーリンは外国人」ファンの方にお勧めします!

お勧め度:★★★☆☆

2011年4月23日 (土)

県庁の星 (桂 望実)

Y県県庁産業局産業振興課主任・野村聡、31歳。ガチガチの役人頭の野村が研修という名目でスーパーで1年間働くことになった。教育係はパート従業員の二宮泰子・45歳。寝具売場に配属されても何をすればいいのかわからない。役人の常識は民間の非常識。二宮と「県庁さん」(野村)は事あるごとに衝突します。無事に1年間の研修を終えることはできるのでしょうか?

織田裕二、柴咲コウ主演の映画「県庁の星」を先に見ていたのですが、小説も楽しめました。スーパーの舞台裏も面白い。実話かどうか知りませんが、消費期限切れの商品で総菜を作り、昨日のフライは水をかけて再度揚げるとカラっとするとか、等々。消費期限内の商品で総菜、弁当を作るべきだと再三主張する「県庁さん」に対して、泰子は総菜コーナーをA
チームとBチームに分けて競争させます。Aチームは野村がリーダーとなって理想の弁当を作り、Bチームは従来どおり380円弁当を作る。毎月集計して粗利が多いほうが勝ちで報奨金2万円が出る。このあたりから断然面白くなってきます。

売れない。なぜ売れないのか。その理由を知るには、マニュアルや本ではなく、人を、客を見ること。これはまさにそのとおり!

楽しく、そして手応えを感じながら働くためのヒントが隠されているお話です。

お勧め度:★★★★☆

2011年4月21日 (木)

わたしたちの田村くん 2 (竹宮ゆゆ子)

「わたしたちの田村くん」第2弾かつ完結編です。中3の田村くんが出会った電波少女・松澤小巻とは卒業後、遠く離れてしまい音信も途絶えがち。一方、高1の春に出会ったツンドラ美少女・相馬広香にキスを奪われる。その日、田村くんの元へ小巻からハガキが届く…「相馬さんて誰?」。小巻はやっぱり宇宙人だったのか!?

なんだ、ただの三角関係か…と思ったのですが「とらドラ!」のように泥沼化せずにアッケラカンと終わったのが好印象。結局、小巻と広香は最後まで顔を合わせることはなかったけれど、互いの存在を知って「わたしたちの田村くん」になりました。互いに認める三角関係成立ということで、めでたし、めでたし?

お勧め度:★★★☆☆

2011年4月19日 (火)

わたしたちの田村くん (竹宮ゆゆ子)

兄は秀才、弟はスポーツ万能という、モテモテ兄弟を持つ田村くんは取り柄のない、地味でモテない男。中学生活最後の夏に、進路調査票に「故郷の星へ帰る」と書く電波少女・松澤小巻に惹かれ、高校進学後には、性格の悪い美少女・相馬広香とヒミツの仲に…。

アニメで見た『とらドラ!』の作者・竹宮ゆゆ子の本を読んでみたくて、すこし古いラノベを手に取りました。

『とらドラ!』同様、彼女たちは各々悩みや事情を抱えています。そのあたりの展開は上手い。ただ、あまり事情が深刻だと暗くなってしまうので要注意です。この1巻では、小巻と広香に接点はなく、わたし「たち」の田村くんにはなっていません。2巻ではふたりが絡みそうな予感をはらんでいるので、続けて読んでみるつもりです。

お勧め度:★★★★☆

2011年4月18日 (月)

iMacとUSBヘッドホン

iTunesで音楽を聴いたり、ブラウザで動画を見たりするとき、昼間は内蔵スピーカー、夜はヘッドホンで聴きたい。でも、実際はヘッドホン端子が本体背面にあるため、手探りでジャックを抜き差しするのはむずかしいし、煩わしい。そうだ、USBヘッドホンなら抜き差ししなくても、サウンド設定を変えればスピーカーとヘッドホンの切り替えができるはず。というわけで、試しに安価なUSBヘッドホン(BUFFALO BMHUN01SVA)を買ってきました。これはヘッドセットなので、マイク部を差し込めばスカイプもできます。

imac2.jpg

また、コードの途中にリモコンがついていて、音量調節やミュートができるようになっています。ところが使ってみると「音がでかい!」。思い切りボリュームを絞らないとうるさくて聴けません。しかし、それでは内蔵スピーカーで音が小さい。iTunesはアプリケーションのボリュームを下げればよいのですが、FireFoxで視聴する動画はその都度、音量調節しないと爆音に驚くことになります。こりゃ、ダメだ。

しかし、ハードの不足はソフトで補うのがApple流。いろいろ調べているとアプリケーションごとに音量調節するソフト(Hear)があるらしい。本来はサラウンドなど音質を調整するアプリケーションです。とにかく30日間試用版をダウンロード。「ミキサー」タブを開くと、現在起動している(音が出る)アプリケーション名が並んでいて、各々ボリューム調整できるようになっています。iTunesやFireFoxは1/4に抑え、Mailは音量ゼロにセット。こうすればメール着信音が割り込むこともありません。うん、これでいいかも。しばらく使ってみよう。

ちなみに、内蔵スピーカーとUSBヘッドホンの切り替えは「システム環境設定」>「サウンド」でどちらかを「消音」することで可能ですが、これでは手間なので、フリーウエアのSoundSourceを使っています。これだとメニューバーでソース切り替えできるので便利。

安いUSBヘッドホンでも、Hearのプリセット-Live Concertを選んで、iTunesでエリック・クラプトンのUNPLUGGEDを聴いてみるとなかなかいい感じ。同じ音源でもiPodよりも遊べます。

2011年4月17日 (日)

恋文の技術 (森見登美彦)

                         
        京都大学大学院の研究室から能登鹿島臨海実験所に飛ばされた守田一郎が「恋文の技術」をマスターして大儲けすべく、友人、先輩、家庭教師していた小学生、妹、憧れの女性(伊吹夏子)、森見登美彦らと文通に精を出す、書簡体小説です。以下の12章から成ります。
       
       
             
  1. 外堀を埋める友へ
  2.          
  3. 私史上最高厄介なお姉様へ
  4.          
  5. 見どころのある少年へ
  6.          
  7. 偏屈作家・森見登美彦先生へ
  8.          
  9. 女性のおっぱいに目のない友へ
  10.          
  11. 続・私史上最高厄介なお姉様へ
  12.          
  13. 恋文反面教師・森見登美彦先生へ
  14.          
  15. 我が心やさしき妹へ
  16.          
  17. 伊吹夏子さんへ 失敗書簡集
  18.          
  19. 続・見どころのある少年へ
  20.          
  21. 大文字山への招待状
  22.          
  23. 伊吹夏子さんへの手紙
  24.        
       

森見登美彦はパラノイア(偏執病)の傾向があります。「四畳半神話大系」「四畳半王国見聞録」では四畳半にこだわり、「美女と竹林」では竹に、そしてこの「恋文の技術」では手紙にこだわっています。おまけに登場する野郎どもは変態か阿呆(またはその両方)と相場は決まっています。

書簡体小説には、じつはあまり期待してなかったのです。ところが、これが意外と面白い。読者が見るのは基本的に守田一郎が書いた手紙だけ。相手の返事は見えないのですが、その返事を見ることで話がつながっていきます。相手が何と書いてきたかはわからなくても、守田が慌てたり、困ったりするのが可笑しいのです。
       
        とくに可笑しかったのが6章と9章。6章で守田は、研究室の暴君・大塚緋沙子先輩をやり込めるつもりが、信じられない返り討ちに遭うし、9章では失敗例の「反省」を読んでは大爆笑。たとえば「この恋文の最大の問題点は、読んでいるうちに書いた人間を絞め殺したくなることだと思う」。(笑)
       
        適当に行き当たりばったりで書いているのかと思ったら、時系列に整理されていて「頭、使って書いてるんだ」。(失礼) 恋文というだけあって、かなり「濃い文」なので森見登美彦初心者にはお勧めしません。熱を出さないだけの免疫がある方、どうぞ!
       
        お勧め度:★★★★★       

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2011年4月15日 (金)

四畳半王国見聞録 (森見登美彦)

                         
        「四畳半神話大系」をはじめとする、森見登美彦による「京の街を徘徊する胡乱な学生たち」シリーズの最新刊。京都市左京区の東大路通・百万遍交差点の東に広がる京都大学周辺が舞台となっており、土地に馴染みがある人にはうれしい。吉田神社、吉田山、鴨川、哲学の道、法然院、銀閣寺、北白川天神宮、琵琶湖疎水、叡山電鉄、出町柳、一乗寺、今出川通、進々堂、カフェ・コレクション等々「小説に書かれていたから行ってみよう」と思うのです。
       
        以下の7話が収められています。
       
             
  1. 四畳半王国建国史
  2.          
  3. 蝸牛の角
  4.          
  5. 真夏のブリーフ
  6.          
  7. 大日本凡人會
  8.          
  9. 四畳半統括委員会
  10.          
  11. グッド・バイ
  12.          
  13. 四畳半王国開国史
  14.        
       

登場するのは男女とも変人。変な人。変わった人。変態といえるかも。変人は四畳半に生息し「阿呆神」も四畳半に棲むらしい。阿呆神になるには「自分の才能を世のため人のために生かさない」「無益なことしかしない」「善人である」ことが条件。四畳半統括委員会なる謎の組織は「世界を四畳半化する」ことが目的。構成員は四畳半手帳(正方形で水玉ブリーフの刻印あり)を持ち、ペコちゃんの憂鬱を恐れる。ネ、わけわからんしょ? だけど、これが森見ファンにはたまらんのです。あなたもいかがです?

       

お勧め度:★★★★☆

      

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2011年4月13日 (水)

民王 (池井戸 潤)

ユニークな設定のエンターテイメント政治小説。「空飛ぶタイヤ」「鉄の骨」に続く、わたしにとって3冊目の池井戸潤。

首相である武藤泰山が、大学生の息子・翔と(人格が)入れ替わってしまいます。バーにいた翔は、気づくと泰山の身体に乗り移って国会で答弁中。渡された原稿を読むのですが、漢字が読めなくて議場は騒然。一方、国会にいたはずの泰山は翔の身体でバーでの誕生日パーティに移動。

戸惑いながらもなんとか事態を把握したふたりは側近と共に(人格が入れ替わった)原因を探り始めます。しかし、泰山は首相としての政務があり、翔は大学の講義に出席したり、就職活動(企業訪問)をしなければなりません。その役割も交代するわけですから、お互いに気が気ではありません。(笑)

与野党はお互いに足を引っ張り合い、マスコミがそれを煽る。政治家は党利党略に縛られ、国益はどこ吹く風。心配なのは選挙と支持率。愛人問題がどうとか、外国人からの献金問題がどうとか、そんなことよりも国会議員が今やるべき大事な仕事があるでしょう。

そういった日頃のストレスを、翔が晴らしてくれることを期待したのですが、人格が入れ替わった背景を描くことに比重が移ってしまい、ちょっと物足りませんでした。

ただ、最後は泰山は(ドラ息子だと思っていた)翔を見直し、政治家としての初心を取り戻し、翔は希望の会社に内定をもらえてハッピーエンド。きれいにまとめてあるので安心して読むことができます。

お勧め度:★★★★☆

2011年4月11日 (月)

神様のメモ帳 5 (杉井 光)

「神様のメモ帳」第5弾は、短編(中編)集です。登場人物はニート探偵アリスと仲間たち。いつものように、高校生の探偵助手ナルミが語り手です。
  1. はなまるスープ顛末
  2. 探偵の愛した博士
  3. 大バカ任侠入門編
  4. あの夏の21球

各編とも、しっかり読み応えがあるので、短編集だということを気にする必要はありません。いつもの「神メモ」ですからご安心を。

巻頭カラーイラストに、アリスがバットを持っている絵があって「まさかアリスが野球を!?」。なにせ引きこもりですから、やせっぽちで、腕力も体力もゼロ、外に出るだけでも重労働。しかし、アリスの武器は「口」(言葉)なのでした。実際は読んでのお楽しみ!

余談ですが「四代目」が乗っているクルマは「クーペ」だとありました。前回、マセラティのサルーン(セダン)をご紹介してしまいました。失礼しました。

現行モデルだとマセラティ・クーペか、グランツーリスモ、先代ならばマセラティ 3200GTになります。サルーン同様、現行モデルはNAエンジン、先代はツイン・ターボです。個人的には 3200GT がいいなぁ。

maseratiCoupe.jpg

特に初代モデルはアクセルのレスポンスが異様に鋭くて、アイドリング状態からちょっと踏み込んだだけでガォッと吼えるのです。発進時は注意しないとリアタイヤが空転します。つまり、リアタイヤはあっという間に磨り減ります。華やかな内装と暴力的ともいえるパワーユニットの好対照がマセラティの魅力。3200GTとクーペはボディ形状がそっくりなのですが、3200GTのテールランプは細くハの字になっていて、これが夜に映えるのです。テールランプに惚れて3200GTを選ぶ人もいます。

ちなみに、クーペなので4人乗りですが、リアシートは足下のスペースが狭いため、大人が乗るのは無理があります。ポルシェ911同様、荷物スペースだと割り切ったほうがいいでしょう。

お勧め度:★★★★☆

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2011年4月 9日 (土)

神様のメモ帳 4 (杉井 光)

「神様のメモ帳」は、美少女ニート探偵アリスと仲間たちのお話ですが、アリスは主人公ではありません。主人公は語り手である高校生・藤島鳴海(ナルミ)。彼は、不良少年やくざチーム・平坂組の組長「四代目」が新たに売り出すガールズバンドの広報担当を引き受けます。が、そこへ「四代目」のかつての相棒が戻ってきて事件は起きたのです。

というわけで、今回の依頼者は「四代目」です。彼と相棒との間に一体なにがあって袂を分かつことになったのか。毎回、ミステリーとか謎というほど大げさなものではないものの「真実」が気になって最後まで読んでしまいます。鈍感ナルミとツンデレ・アリスの掛け合いも愉快だし、テツ、ヒロ、少佐の探偵トリオも個性的。ナルミは高校生なのに社会の裏側を歩いているようなもの。登校しても、それは園芸部の活動か、温室での補講。学校からみれば立派な引きこもり。ニート予備軍か?

余談ですが、組長「四代目」はイタリア車のマセラティに乗っているとか。マセラティは大人のクルマ。クーペかオープン(スパイダー)という可能性もあるけれど、妥当なのは豪華サルーンのクアトロポルテでしょうか。写真下が2004年に発表された現行モデルの5代目クアトロポルテ。大柄で押し出しが強い。

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それとも「四代目」が乗るのは、やっぱり4代目クアトロポルテ? 5代目よりもひと回りコンパクトで上品。リアのホイールアーチがガンディーニらしいデザイン。

porte2.jpg

ボディカラーが深緑ならばインテリアは明るいクリームが合います。フェラーリ傘下に入って、5代目のエンジンはNAになりましたが、4代目はツイン・ターボ。ただ、4代目はトラクション・コントロールを装備していないので、雨の日に不用意にアクセルを踏んで加給がかかると直線ドリフトを起こして心臓が止まりそうになったことがあります。いずれにせよ、首都高で他車をぶっちぎるのは簡単。ドライバーの度胸と理性の問題です。

お勧め度:★★★★☆

2011年4月 7日 (木)

神様のメモ帳 3 (杉井 光)

記憶を失ったけれども、彩夏が帰ってきた。藤島鳴海(ナルミ)は、ぎこちないながらも彩夏と園芸部の活動を再開します。その矢先、生徒会長から園芸部は廃部にすると告げられます。どうする、ナルミ!

今回の事件は、元ボクサーのテツが4年前、園芸部で起こしたとされる生徒死亡事故に関するもの。テツがいじめたせいで死んだことになっているけれど、ナルミはテツが嘘をついていると考え、アリスと共に調査を開始。そのうえ「喧嘩で勝ったら真実を話してほしい」とテツに無謀な勝負を挑みます。そこで、ヒロと少佐が「対テツ」特訓メニューを用意してくれたのですが…。

その生徒はなぜ死んだのか、テツはなにを隠しているのか。

「高校生がそんな状態でそこまで考えるかなぁ?」という疑問がありますが、このラノベに登場するニートたちは「自分のことより他人のことを心配する」という心優しい人たちだから成り立つ話なのでしょう。

全体にちょっと暗くて、切ないんだけど、友情や笑いもある、独特の雰囲気をもった小説です。

お勧め度:★★★★☆

2011年4月 5日 (火)

国境の南 〜 妻は、くノ一 9 (風野 真知雄)

「妻は、くノ一」シリーズ第9弾。織江は「彦馬を好きじゃなくなれば彦馬さんが刺客に狙われることもなくなる」と、自分自身に心術(催眠術)をかけます。ある日、幼馴染みのくノ一、お蝶に町で声をかけられます。ついにお蝶まで刺客として差し向けられたのでしょうか。

誰かの願いを叶えるための「クエスト」をこなしながら、旅の目的に向かうという点で、ニンテンドーDS用「ドラゴンクエストIX 星空の守り人」を思い出しました。静山の望遠鏡が盗まれたとか、元やくざが背中の刺青を消して殺されたとか、本書の「クエスト」は謎解きです。目的は、彦馬が織江と再び出会い、夫婦として一緒に暮らすこと。そのため、織江は密かに彦馬を追いかけます。ただ、それだけだと単純なので、織江に横恋慕する輩をふたりほど用意して、話をややこしくしています。なかなか「ゲーム的」ではないですか。(笑)

220ページの文庫本なので、電車や待合室などで気軽に読破できるはず。彦馬の、あるいは織江との「旅」を楽しみましょう!

お勧め度:★★★★☆

2011年4月 3日 (日)

アイダ王女の小さな月 〜 魔法の国ザンス (ピアズ・アンソニー)

ユーモア(駄洒落)ファンタジー「魔法の国ザンス」シリーズも21巻目。原題は「FAUN & GAMES」。フォーンとは、上半身が人間で下半身が山羊。フォーンのフォレストは、サンダル木の守護精霊なのですが、友人のフォーンが突然失踪し、精霊を失った木靴木は魔法の力を失い「おぞましい」マンダニアの木と同じになってしまうのです。木靴木を救うには、新しい守護精霊になってくれるフォーンを見つけるしかない。というわけで、よき魔法使いハンフリーの助言に従って、フォレストは夢馬インブリと「アイダ王女の小さな月」(プテロ)に旅立ったのでした。

久しぶりにザンスを訪れると人間関係…いえ、人間だけじゃなくてセントールとか人喰い鬼とかゾンビとかの相関関係がわからなくて戸惑います。そこで Wikipediaの「魔法の国ザンス」でちょっと復習。

プテロとは、ザンスに生まれてくる予定の者(存在予定者)たちの世界でした。しかし、なぜかそこにもアイダ王女がいて、彼女の頭のまわりを月が、球形ではなくピラミッド型の月が回っているのです。どういう理屈だかわかりませんが、なんだか嫌な予感がします。それって入れ子が無限に続くのでは…? おまけにプテロでは時間の概念がまったく違います。破天荒だけど、陽気で騒々しくて愉快。フロリダ在住だというのも頷けます。いかにもアメリカ人らしい。

英語の駄洒落を日本語に翻訳するのは苦労すると思います。フォレストたちが開けた土地に出たと思ったら、いきなり犬が吼え出してビックリ。そこは Barking Area(Parking Areaの駄洒落)だったのです。こんなのが続くとフォレストでなくても疲れてしまうのですが、適度にロマンスも盛り込まれているので退屈はしません。

木靴木の精霊フォーンを探す旅なのに、次々にいろんなクエストに出ることになって東奔西走、右往左往のフォレストたち。途中で結末は見えたのですが、最後には(よき魔法使いハンフリー=著者ピアズ・アンソニーの考えどおり?)収まるところに収まってめでたし、めでたし! いつもどおり、満足の1冊でした。

お勧め度:★★★★★

2011年4月 1日 (金)

鉄道員 (浅田次郎)

映画にもなった「鉄道員(ぽっぽや) 」をはじめ、下記の8篇から成る短編集です。

  1. 鉄道員
  2. ラブ・レター
  3. 悪魔
  4. 角筈にて
  5. 伽羅
  6. うらぼんえ
  7. ろくでなしのサンタ
  8. オリヲン座からの招待状

以前ご紹介した「椿山課長の7日間」も死んだ人間が3日間だけ現世に戻ってくるという、ちょっぴりホラーっぽい小説でしたが、この短編集にも似たような空気が漂っています。それにしても、うらぶれた場末の風景や、そこで生きる人間の心情が見事に書かれています。

8篇のなかで気に入ったベスト3は「ラブ・レター」「鉄道員」「うらぼんえ」です。哀しく切ないけれど心温まる話。

お勧め度:★★★★☆

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