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2011年3月18日 (金)

そうか、もう君はいないのか (城山三郎)

以前ご紹介した「落日燃ゆ」の著者・城山三郎が書いた、奥さん(容子さん)との馴れ初めから、癌で亡くなるまでを描いた私小説です。容子さんの愉快な人柄や、日常のささやかな出来事など「これ、かなり照れくさかったんじゃないかな」と思うようなことも淡々と記されていて、微笑ましい手記でした。

城山三郎が名古屋出身だとは知りませんでした。終戦直後の「栄町」と言われても想像するしかありませんが、栄あたりが繁華街であることは変わらないので身近に感じます。

城山三郎の「妖精」が天に還り「そうか、もう君はいないのか」と、ひとり呟く。

深夜
おまえの寝息を聞いていると
宇宙創造の歴史が
ふとんを着て
そこに居る気がする

生きていることの
奇怪さ
美しさ
あわれさ

おまえの寝息がやむと
大地に穴が開いたように
寒くなる

次女の井上紀子さんの「父が遺してくれたもの」という一文も涙を誘います。半端な恋愛小説を読むくらいなら、この本をお勧めします。

お勧め度:★★★★★

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