« 謎解きはディナーのあとで (東川篤哉) | トップページ | 阪急電車 (有川浩) »

2011年2月 9日 (水)

あの戦争は何だったのか~大人のための歴史教科書 (保坂正康)

1945年から60年後、2005年に発行された本書の性格は著者自身がつぎのように書いています。

「太平洋戦争を正邪で見るのではなく、この戦争のプロセスに潜んでいるこの国の体質を問い、私たちの社会観、人生観の不透明な部分に切りこんでみようというのが本書を著した理由である。あの戦争のなかに、私たちの国に欠けているものの何かがそのまま凝縮されている。そのことを見つめてみたいと私は思っているのだ。その何かは戦争というプロジェクトだけではなく、戦後社会にあっても見られるだけでなく、今なお現実の姿として指摘できるのではないか。
戦略、つまり思想や理念といった土台はあまり考えずに、戦術のみにひたすら走っていく。対症療法にこだわり、ほころびにつぎをあてるだけの対応策に入りこんでいく。現実を冷静に見ないで、願望や期待をすぐに現実に置きかえてしまう。太平洋戦争は今なお私たちにとって”良き反面教師”なのである。」

歴史を振り返ったときに、太平洋戦争への始まりとなった事件はなにで、直接のきっかけを作ったのは誰なのか。「父が子に教える昭和史~あの戦争36のなぜ?」(半藤一利 他)という解説集のような本のつぎに読んだこともあって、戦争に至る経緯を著者の考えで1冊にまとめてあるという意味で興味深いものでした。「大人のための歴史教科書」というよりも「副読本」といったところでしょうか。

なぜ戦争を避けることができなかったのか。なぜ無謀な戦闘が繰り返されたのか、といった疑問に対する答えが知りたくて、最近戦争関連の本を読んでいるのですが、限定的な意味での責任者はいても、単純なわかりやすい答えは見つかりそうにありません。そもそも戦争に勝つための条件(目標)が曖昧で、天皇がどうの、内閣がどうの、軍部と右翼がどうのと、国内の勢力闘争に明け暮れ、国家戦略もなく、無闇に戦線を拡大して自滅していく…。翻って現代日本はどうか、ということをじっくり考えてみる必要があるでしょう。

 お勧め度:★★★☆☆

« 謎解きはディナーのあとで (東川篤哉) | トップページ | 阪急電車 (有川浩) »

戦争関連」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« 謎解きはディナーのあとで (東川篤哉) | トップページ | 阪急電車 (有川浩) »