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2011年1月18日 (火)

告白 (湊かなえ)

幼い愛娘を校内で亡くした中学校の女性教師のホームルームでの「告白」から物語は始まります。

「愛美は死にました。しかし事故ではありません。このクラスの生徒に殺されたのです。」

  1. 聖職者(クラス担任教師・森口悠子=被害者の母親)
  2. 殉教者(クラス委員長・北原美月)
  3. 慈愛者(犯人Bの姉)
  4. 求道者(犯人B)
  5. 信奉者(犯人A)
  6. 伝道者(森口悠子)

上記6章から成っていて、章のタイトルの右の括弧内は誰の告白なのかをわたしが記入しました。関係者が順番に告白していくことで事件の全容が明らかになっていく仕組みなのですが、第1章だけで十分ショッキングです。かわいい娘を殺されたとわかっても「警察が事故だと判断したのなら、それを蒸し返すつもりはありません」と言ってのける母親。なにを考えているのか理解できなかったのですが、少年法は犯人を守ってしまうから、級友から制裁を受けさせようとしたのです。それを教師が考えたというのがコワい。

こんな事件が警察沙汰にならないというのは現実的ではないのですが、そこをフィクションと割り切ってしまえば、よくできたミステリー小説です。ただし、犯人探しではなく復讐劇。真の復讐(裁き)とはなにかを考えさせる点で物議をかもしたことでしょう。わたしの中では「重力ピエロ」(伊坂幸太郎)、「船に乗れ!」(藤谷 治)を超える問題作です。

森口悠子のやり方は決して認められるものではありませんが、わたしは責めることもできません。犯人の身勝手さに対する怒りを共有するからか、最後に思わず溜飲を下げてしまう自分がいることに気付いて驚いています。あくまでフィクションとしてお楽しみください。

お勧め度:★★★★★

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