聖女の遺骨求む ~ 「修道士カドフェル」シリーズ 1 (エリス・ピーターズ)
12世紀のイングランド、シュルーズベリ大修道院のカドフェルは十字軍に参加した船乗りだったという、人生経験豊かな異色修道士。修道院の権威を高めようと聖人の遺骨探しを始めた副院長ロバートは、ちいさな村の墓地に残された聖女ウィニフレッドの遺骨を引き取るべくウェールズに向かいます。しかし、それに反対する地主リシャートが殺されてしまいます。『修道士カドフェル』シリーズ第1弾。 初めて読むタイプの小説だったので、最初は戸惑いましたが、それぞれの人物の思惑が明らかだったり、逆に胡散臭く伏せられていたりと、次第に興味を引かれてのめり込んでいきました。解説によるとこういうのを「時代ミステリー」というそうです。日本でいえば時代小説でしょう。 半分ほど読み進んだあたりで殺人事件が起き、そこからカドフェルの犯人探しが始まります。被害者の娘シオネッドと協力して、手がかりを得るために罠を仕掛けていきます。「一体だれが犯人だろう?」と考えながら読むのが楽しい。最後にカドフェルにとっても予想外の事態に陥ってしまい、どう収拾をつけるのかと思ったら…。 カドフェルというのは神をも恐れぬ、とんでもない修道士です。だけど憎めない。知らぬが華、言わぬが華で丸く収めてしまう。教会の権威なんかよりも、人々の信仰に篤いというのは、本来あるべき修道士の姿なのかもしれません。 予想外に面白かった「修道士カドフェル」なのですが、ミステリーは嫌いじゃないものの殺人事件はいくらフィクションとはいえ好きになれません。2巻のタイトルは「死体が多すぎる」。94体のはずが95体あるのが多すぎるって…戦争でも始めるんですか! 教会では死体がちっとも珍しくないのが問題? お勧め度:★★★☆☆ |
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