よろずや平四郎活人剣 (上) (藤沢周平)
平岩弓枝の「御宿かわせみ」、佐伯 泰英の「居眠り磐音 江戸双紙」、風野 真知雄の「妻は、くノ一」など読んできましたが、今回は新たに藤沢周平を手に取ってみました。「よろずや平四郎活人剣」は市井に身を置く侍がさまざまな事件を解決していく連作小説です。主人公の立場が武家と町人の両方の世界に通じているという点では先に挙げた三作と同様です。 主人公の神名平四郎は旗本の末弟、つまりは冷や飯食い。居心地が悪く、落ち着かない実家を飛び出し、裏店に住み着いた平四郎は「よろずもめごと仲裁つかまつり候」という看板を掲げたのです。もめごとの仲裁で金をもらうというのが最初はうまくいかず苦労するあたりがリアルです。用心棒は引き受けないのですが、実際には剣の腕が必要になる場面も多々あります。 上巻には12話納められており、各話に事件が用意されているのですが「御宿かわせみ」みたいにバラバラではなく、それまでの話を受けて流れていきます。わたしは最後の「一匹狼」が好きです。文庫で460ページありますが、続きが楽しみでスラスラと読めます。さて、下巻に取りかかりますか。 |
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