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2010年12月31日 (金)

ボックス! (上・下) (百田 尚樹)

「BOX」とは「ボクシングをする」という動詞。

「武士道シックスティーン」の剣道も痛そうだったけれど、ボクシングというのは、いかに相手にダメージを与えるか、相手を叩きのめすかという格闘技ですから、ほんとに痛そうです。とはいえ、舞台は大阪の高校のボクシング部ですから、若い選手の安全のために1ラウンド内に2回ダウンしたら試合終了というように、いくつもの制限が設けられています。

大阪でいうところの「アホやけど天才」の鏑矢義平と、幼なじみの秀才・木樽優紀のふたりを、恵比寿高校ボクシング部の顧問・沢木、英語教師の高津耀子らが助けます。中学の頃からボクシングジムに通っていた鏑矢と、勉強はできるが喧嘩が弱く、昔からいじめられては鏑矢に助けられてばかりいた木樽は対照的。しかし、木樽は同じクラスの女子の前で喧嘩に負けて悔しかったことと、高津先生の気を惹きたくてボクシングを始めます。

わたしは大阪出身なので梅田や箕面、阪急京都線、宝塚線などが出てくると身近に感じます。鏑矢に憧れた同級生・丸野智子がボクシング部のマネージャになったものの、そもそも身体が弱く、吹田の阪大病院に入院します。みんなで見舞いに行く際「蛍池からモノレールに乗って、途中万博記念公園で太陽の塔を見た」話が出てくるのですが、ふと「市民病院では対応できない病気だから阪大病院なのかな」。

作者の百田 尚樹は大阪出身。放送作家として「探偵ナイトスクープ」などの構成も手がけているそうです。

大会では優勝者以外のすべてが敗者。たとえ途中で心が折れても、また立ち上がって拳を握り締める。ほんとうの強さとは何かということを考えさせてくれる小説です。たとえナンバー1になれなくても、ボクシングをずっと真剣に続けてきたというだけで十分強いのかもしれません。

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