« 胸の振子~妻は、くノ一 8 (風野 真知雄) | トップページ | 聖なる島々へ~デイルマーク王国史2 (ダイアナ・ウィン・ジョーンズ) »

2010年12月 5日 (日)

詩人たちの旅~デイルマーク王国史1 (ダイアナ・ウィン・ジョーンズ)

「ハウルの動く城」(1986)、「大魔法使いクレストマンシー」などで有名なイギリスのファンタジー作家ダイアナ・ウィン・ジョーンズの手になる「デイルマーク王国史」四部作の第1弾「詩人(うたびと)たちの旅」です。 クレジットは1975年と、比較的初期の作品になるようです。

  1. 詩人(うたびと)たちの旅 ("CART AND CWIDDER" 1975)
  2. 聖なる島々へ ("DROWNED AMMET" 1977)
  3. 呪文の織り手 ("THE SPELLCOATS" 1979)
  4. 時の彼方の王冠 ("THE CROWN OF DALEMARK" 1993)

括弧内は原書のタイトルと出版年です。2年ごとに出ていたのに4巻が出るまでに14年かかってます。日本では2004~2005年に4巻すべて創元推理文庫から出ているのでまとめて読むことができます。

1~3巻までは各々異なる主人公の物語になっていて、それが4巻(最終巻)でひとつにつながります。1巻は詩人(うたびと)=吟遊詩人の一家のお話。デイルマーク王国は当時、王が不在で各地を伯爵家が分割統治しており、南部は北部に比べて民たちはひどい領主に虐げられており、兵士に捕まったら縛り首にされてしまうのです。吟遊詩人クレネン一家は南部から北部に向けて旅をしている途中、見知らぬ少年を馬車に乗せたのですが、そこから父が殺され、兄ダグナーは捕えられ、末っ子モリルは父が遺した弦楽器クィダーを抱え、姉ブリッドと共に命からがら逃げ出したのですが…。

主人公のモリルはかなり悲惨な目に遭います。目の前で父親が殺され、縛り首にされるかもしれない兄を置いて逃げなければならず、父が「北部に送り届ける」と約束した少年を連れて(追手を避けながら)北部へたどり着かねばならない状況。そもそも何故父親が殺されたのかもわからないままモリルたちの旅は続くのです。

でも、そこでやめたらこの本の面白さを味わえません。夜もいつかは明けるし、トンネルを抜ければ陽も射すのです。父の死、少年の正体、クィダーの秘密などが目の前の霧が晴れていくように徐々に明らかになっていくのが快い。そうして、物語の世界に引き込まれていくのです。

王や領主といった権力者ではなく、庶民の側から描いたファンタジーは珍しいのでは? 主人公の運命と葛藤、勇気を存分に見せてくれます。リアルな登場人物と、ありえない魔法のアンバランスが面白いのと、しょうもない奴だと思っていたら大化けすることもあるのが愉快。これはもう4巻読み終えるまで止まりそうにありません。

« 胸の振子~妻は、くノ一 8 (風野 真知雄) | トップページ | 聖なる島々へ~デイルマーク王国史2 (ダイアナ・ウィン・ジョーンズ) »

SF/ファンタジー」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« 胸の振子~妻は、くノ一 8 (風野 真知雄) | トップページ | 聖なる島々へ~デイルマーク王国史2 (ダイアナ・ウィン・ジョーンズ) »