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2010年12月25日 (土)

船に乗れ!III 合奏協奏曲 (藤谷 治)

高校の音楽科在籍中の出来事を主人公の回想形式で書かれた小説「船に乗れ!」全3部作のうちの第3弾。音楽小説なのに何故「船に乗れ!」なのだろう、と疑問に思っていたらニーチェの言葉のようです。

音楽といってもクラシック、しかもチェロに関する記述がひどくリアルです。

「一弦のDを2の指で押さえる。アップから入って十六分音符が続く。二弦の上で人差し指から小指まで大きく開いて、2、4、1、4、0、1、2……じゃない、エフの次のゲーも1だ。それから3。」

なんのことやらさっぱりわかりませんが、そんなことは気にならない。それよりも2巻でのふたつの事件(南枝里子が学校を辞めるに至った経緯と、哲学を教えてくれた先生が退職したこと)が主人公なりの決着を見ることのほうが大事。この話題を放置されたらどうしようかと不安だったので助かりました。

わたしが今年読んだ本の中では「重力ピエロ」(伊坂幸太郎)に次ぐ問題作です。「さまよう刃」(東野圭吾)は怖くて読めなかったように、露骨にショックを受けそうな本は(精神衛生上よくないため)避けているのですが「船に乗れ!」には意表を突かれました。音楽小説としては文句なく面白いと思いますしお勧めしたい。けれど、主人公が人に裏切られ、人を裏切った後味が悪すぎます。だから、この小説をどうしても好きになれません。(ごめんなさい>作者)

全く比較にはなりませんが、高校時代バンドを組んでギターを弾いていたことを思い出しました。満足できる「演奏」ではなかったかもしれませんがすごく楽しかった。「音楽」してたと思います。音楽は本来iPodなんかで聴くものじゃなくて、演奏すること、そして演奏を聴くことなのでしょう。

同じジャイブから出ている「音楽青春小説アンソロジー ハートビート」に「再会」というタイトルでスピンオフ小説が載っています。さて、だれと「再会」するのでしょう?

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