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2010年11月

2010年11月29日 (月)

とある飛空士への恋唄3 (犬村 小六)

「とある飛空士への恋唄」第3弾。次男が「戦争」といった意味がわかりました。「聖泉」から先は「空の一族」が支配していて、侵入者はすべて殲滅されるのです。だから誰も戻って来ない。飛空科のカルエルたちは攻撃に備えて地上での陸戦訓練を積んでいました。

前半は、カルエルがクレアといっしょに薪を拾いに森に入って遭難したり、ふたたび「アリーメン」騒動があったりのギャグパート。後半のシリアルパートではカルエルたちも空で交戦することに…。

「空の果て」がどうなっているのか知りたくて続巻に期待!

2010年11月27日 (土)

とある飛空士への恋唄2 (犬村 小六)

カルエルとアリエルはカドケス高等学校飛空科に入学し、寮生活がスタート。カルエルはクレアといいムードになり、毎日が楽しくて仕方がありません。飛空訓練ではクレアにペアを申し込み、ふたりで離陸したのですが…。

「とある飛空士への恋唄」第2弾は「学園生活+飛空訓練」編です。学園生活といっても寮生活が中心。しかも食事ネタに偏ってます。食事づくりは寮生の当番制。アリエル自慢のラーメン「アリーメン」と、アリエルの実家の「アルバスカレー」のいずれも大好評…なのは結構ですが、いくらなんでもラーメンは場違いかと。(苦笑)

途中から超低空飛行で墜落寸前。斜め読みでなんとか切り抜けて終盤、戦争の予感を漂わせつつ第3巻へ続きます。

2010年11月25日 (木)

とある飛空士への恋唄 (犬村 小六)

「とある飛空士への追憶」とおなじ舞台で新しいストーリーが幕を開ける。ということで高2の次男が4巻まとめて貸してくれました。「ちょっと暗いかな。戦争ものだから」。え、そうなの?

革命によって両親を奪われた元皇子カール・ラ・イールは飛空機械工ミハイルに引き取られ3人の娘たちとカルエルと名を変えて暮らし始めたのです。5年後、14歳になったカルエルは末娘アリエルと共に「空飛ぶ島」イスラに乗って空の果てを見つける旅に出たのでした。操縦できる空飛ぶ島という設定は、ラピュタよりもアニメ「異世界の聖機師物語」 に似てるかな。

イスラは周囲約70kmというから八丈島の約59kmよりすこし大きいくらい。高度2,000mに浮かぶ島に6門の巨大砲台と推進装置、舵を取り付けて移動できるようにしたイスラは周辺国の軍事的脅威となり、空の果てへの旅という名目でやっかい払いされたという設定です。が、脅威なのは砲台などの武器であって、島自体は落ちることもできない岩の塊。砲台を壊せば怖くないのでは、と思うのは早計でしょうか。また「これはきれいに飾り立てられた追放劇だ」というカルエルの悲観的な発想と、革命の旗頭にされたニナ・ヴィエントに対する憎悪は異常に感じます。

カルエルとアリエルはイスラの高校に通いながら飛空士になるべく勉強するということですが、1巻では高校に到着したところまで。2巻はどうなるのでしょうか。楽しみと不安が錯綜しております。

2010年11月23日 (火)

とある飛空士への追憶 (犬村 小六)

これは高2の次男お勧めのライトノベル。レヴァーム皇国の次期皇妃ファナを複座式水上偵察機サンタ・クルスに乗せて「単機、敵が制空権を握る海上を12,000km飛べるか?」。上官からそう訊かれた傭兵飛空士シャルルは一日考えた末に引き受けます。偵察機だからひたすら逃げるしかありません。

冒頭、孤児のシャルルが人種差別を受け、生きていくのをあきらめようとしたとき教会の神父さんが声をかけます。「死ぬのはいやかね」。ずいぶんと上から目線の神様のようですが、ともあれシャルルは命拾いして飛空士となったのでした。ミッションを受け、ファナと空へ飛び立つと雰囲気は一変し開放的になります。手に汗握る空中戦とふたりの淡い恋。12,000kmを5日間で飛ぶ行程。作者が『ローマの休日』 +『天空の城ラピュタ』を意識したというのがわかります。物語の結末も読めてしまうのですが、それでも最後まで読まずにいられないベタだけど切ない物語です。 イラストもいいですね。

この話は1巻完結ですが、同じ世界を舞台にした別のストーリー「とある飛空士への恋歌」というのが出ているとか。(持ってる?>次男)

2010年11月19日 (金)

茨文字の魔法 (パトリシア・A・マキリップ)

レイン十二邦の王立図書館で拾われた少女ネペンテスは書記として育てられました。魔法学院の学生から預かった一冊の本は、茨のような文字で書かれていて、誰にも読み解くことができなかったため、司書に翻訳を依頼してきたのです。代理で受け取ったネペンテスはなぜかその本に惹かれ、密かに自分ひとりで翻訳に取り組みます。じつはそこに書かれていたのは三千年前に世界を征服した王と魔術師の物語だったのです。

マキリップを初めて読んだのですが、この「茨文字の魔法」は面白かった。レイン十二邦では先王が亡くなり、まだ若くぼんやりした娘テッサラが女王として即位することになっているのですが、国内には反乱の気配が漂っています。そんな不穏な空気とは無縁に暮らすネペンテスは「茨文字」に夢中になっていて、その本を渡した魔術師見習いボーン、同僚の司書レイドリーと共に謎を解いていきます。

征服王アクシスに付き従う強力な魔術師ケインは実は女性。ネペンテスとケイン、テッサラの3人の女性を軸に物語は進んでいくのですが、後半に至るまで展開がよく見えず、男性だと思ってたら女性だったりと戸惑いました。でも終盤、散らばっていた謎が見事につながっていく様は壮観。胸のすく思いでした。

SFとしてみると突っ込みたくなるところが多々ありますが、ファンタジーとしてはよくできています。各々ちがった意味で魅力的な女性たちと、三千年前との運命のつながり。内乱とは比べものにならない危機をまえにネペンテスが下した決断とは? 慌てずじっくりと味わいながら読んでみてください。

2010年11月17日 (水)

新・御宿かわせみ ~ 花世の立春 (平岩 弓枝)

明治時代の「新・御宿かわせみ」第3弾です。

  1. 明石橋の殺人
  2. 俥屋の女房
  3. 花世の立春
  4. 糸屋の女たち
  5. 横浜不二山商会
  6. 抱卵の子

はねっかえりのじゃじゃ馬娘 花世が源太郎と結婚することになりました。なかば押しかけ女房なのが花世らしい。立春に祝言を挙げるため、それまでに源太郎の家をきれいにするんだと張り切る花世ですが、気ばかり急いて実力が伴っていません。無茶苦茶なのを見るに見かねたかわせみの面々や長助、麻太郎らに助けられて準備が進みます。この「花世の立春」がいちばん好きです。

ただ、花世が最後に見せた涙の理由がよくわからない。わからないといえば「糸屋の女たち」の終盤、花世が源太郎と麻太郎と謎解きをしているとき、花世が源太郎に茶碗を投げつけるのですが、それもすっきりしません。「御宿かわせみ」のるいであれば東吾との絡みで人となりが十分わかっていたので、その機微も感じ取ることができましたが、花世のことはそこまでわかっていないので判断に困ります。

るいから見ても麻太郎はますます東吾に似てきて、千春も性格が東吾に似てるとか。そのふたりに源太郎、花世夫婦を加えた4人がメインキャラクターといえるでしょう。かわせみを舞台にした人情探偵物語は今後も楽しみです。

2010年11月15日 (月)

どまんなか 1 (須藤 靖貴)

埼玉県立大代台高野球部に入ったレブンこと青居礼文がピッチャーで主人公。通称ゴキゲンと呼ばれる監督のもと、ユニークな練習を積んで甲子園を目指す!

…のですが、あさのあつこの「バッテリー」「グランドの空」とは(当然のことながら)ちがいます。いわゆる「熱血高校野球ストーリー」ではないのです。「ピッチャーは球威があればいい。どまんなかへ投げろ!」という指示や「野球は道具をうまく使いこなして集団で戦うスポーツ」だという理屈はよいのですが、全体に議論や余談(食事や食費の話など)が多くて、実際の野球の試合の場面があっさりしてるのがちょっと物足りない。

でも、ゴキゲン理論が甲子園予選大会で通用するのかどうか興味があります。

2010年11月13日 (土)

ラブコメ今昔 (有川 浩)

有川 浩の「クジラの彼」につづく、ベタ甘「自衛隊」シリーズ第2弾。

  1. ラブコメ今昔
  2. 軍事とオタクと彼
  3. 広報官、走る!
  4. 青い衝撃
  5. 秘め事
  6. ダンディ・ライオン~またはラブコメ今昔イマドキ編
  7. あとがき

いちばん面白かったのは「あとがき」。作者の地が出ていてオモシロイ。(笑) 

冗談はさておき、1から5が角川書店の「野生時代」に掲載されたもので6が書き下ろし。「ラブコメ今昔」で威勢のいい広報自衛官 矢部千尋が第一空挺団の今村二佐に「奥様とのナレソメ」を取材しようと喰いつく話で、その千尋が広報写真担当の彼と知り合ったときの前日談が「ダンディ・ライオン」。この2編で本全体を上手く締めてあります。

本編で気に入ったのは「ダンディ・ライオン」。有川 浩の自衛隊シリーズ全体に言えることですけど、ベタ甘だけじゃなく自衛官という立場の厳しさもちゃんと描いているところにリアリティを感じます。自衛官同士で結婚するのはいいけれど、いつどこで命を落とすかもしれない。子供が生まれて両親がふたりとも死んでしまったらどうする? そこまで考えているのかという上官の指摘が痛い。

「海の底」にあったように、警察にも機動隊にも手に負えない「敵」が現れたとき、国民を守るのは自衛隊しかありません。そのための装備であり、厳しい訓練なのですが、訓練中の事故死も少なくないと聞くとやりきれません。

ときどき背筋がムズムズする「ベタ甘」が逆に快感になってるかも。笑って泣けるラブコメ短編小説はいかがでしょう?

2010年11月11日 (木)

オフィシャルファンブック 涼宮ハルヒの公式

これはライトノベルではなくTVアニメのファンブックでした。A4サイズです。月刊誌に掲載されたカラーイラストやアニメ14話のレビューを中心に、声優さんたちやアニメ制作スタッフ、賀東招二×谷川流の対談などが載っています。DVD BOX(あ、いまはBlu-rayですか)を買っちゃう方はいっしょに揃えておくとよろしいかと。

アニメ「涼宮ハルヒの憂鬱」もお勧めです。京都アニメーションが頑張ってます。

涼宮ハルヒの憂鬱 ブルーレイ コンプリート BOX (初回限定生産) [Blu-ray]

アニメ映画「涼宮ハルヒの消失」も今年公開されました。

涼宮ハルヒの消失 限定版 (Amazon.co.jp限定スチールブック付き/完全生産限定版) [Blu-ray]

原作の第4巻に忠実で、大変よくできています。ラノベ版「涼宮ハルヒ」シリーズを9巻まで読んでみて、1巻だけでは寂しいから2巻以後も出してくれたのは嬉しいけれど(現時点では)4巻で完結していたと思う次第です。

2010年11月 9日 (火)

涼宮ハルヒの分裂 (谷川 流)

「涼宮ハルヒ」シリーズ第9弾も長編で、表紙は三度ハルヒです。また春がめぐってきて、SOS団の面々も進級しました。高校の部活説明会に「文芸部」として参加する一方、密かにSOS団の新人探しをするハルヒたち。戻ってきたハルヒにキョンが「釣果は?」「ボウズ」。漢字で「釣果」と書くから意味がわかるけれど、会話でいきなり「チョウカは?」と聞かれても釣り好きでなければ意味不明です。

一方、キョンに佐々木という中学時代の「親友」が会いに来ます。同窓会を開くのどうのという話ですが、それは口実。それぞれ駅前で待ち合わせしていたため、ハルヒたちにも佐々木を紹介したのですが、ハルヒの感想は「ちょっと風変わりね」。活字メディアならではの引っ掛けが目立つようになってきてます。

佐々木は男言葉をしゃべっているから男かと思ったら美少女だったという引っ掛け。そりゃ十分に風変わりです。そういえば「涼宮ハルヒの憤慨」の「編集長★一直線!」でも、キョンがデートした相手が高校生ではなく、じつは小学生だったというオチもありました。字面だけ見てたら年齢までわかりません。でも、こういう悪戯は好きです。

その佐々木さんが後日とんでもないメンバーを3名引き連れてキョンに会いに来るのです。そして「分裂」していく…。これ、一体どうやって収拾するんだろ。あ、なんのことかわからないですよね、スミマセン。でも説明してしまうと読む楽しみがなくなってしまうので割愛させてもらいます。

最後に、寝込んでいる長門を見舞いにハルヒたちが学校を出るところで「涼宮ハルヒの驚愕」につづくとなっているのですが、第10弾「涼宮ハルヒの驚愕」は当初2007年6月刊行予定が2010年11月現在いまだに発売されていません。「分裂」でストーリーの区切りがついているならともかく「つづく」としておいて 3年以上放置するとは、さすがはハルヒ、いい度胸してます。(笑)

2010年11月 8日 (月)

サマーウォーズ クライシス・オブ・OZ (土屋つかさ)

細田守監督のアニメ映画「サマーウォーズ」のスピンオフ小説です。本編は夏休みのことですが、これはその3ヶ月前のゴールデンウィークに、仮想空間OZの「キングカズマ」こと佳主馬の身に起こった出来事です。

佳主馬は自転車で20分ほどの栄って…栄という地名は名古屋だけじゃないよな。と思ったら名古屋の栄にあるネットカフェが舞台でした。佳主馬は隣のブースにいた「マキ」こと真紀がもつデータを狙う奴らからいっしょに逃げ出したのです。

仮想世界OZの知られざる一面を垣間見ることができるかと期待して手に取ったのですが、そういうわけではなかったようです。「サマーウォーズ」の佳主馬ファンの方はどうぞ!

2010年11月 7日 (日)

サマーウォーズ (岩井 恭平)

細田守監督のアニメ映画「サマーウォーズ」のノベライズ。わたしは小説を読んでから映画を見ましたが、夏希の一族が繰り広げるハチャメチャな戦いぶりは一見の価値があります。

高校2年の小磯健二は、憧れの先輩 篠原夏希から一緒に長野県の実家に行くという「バイト」に応募。実家には夏希の曽祖母 陣内栄の90歳の誕生日を祝うため多くの親族が集まり、健二は栄を安心させるために夏希の婚約者のふりをすることになったのです。健二はフィアンセという立場に舞い上がる一方、初対面の親戚一同に困惑。栄を騙すのもうしろめたく感じるのでした。

その夜、健二の携帯電話に数字の羅列が書かれたメールが送られてきて、数学が得意な健二はそれを解いてしまいます。しかし、それはインターネット上の仮想世界OZの管理パスだったのです。翌日、OZは謎の人工知能に乗っ取られ、現実世界も大混乱となってしまいます。さて、健二と夏希はこの混乱を収拾することができるのでしょうか。

痛快なコメディである点で大いに笑えるのですが、インターネットが現実世界と切り離せなくなっていることが孕む危険性をさりげなく示唆しています。田舎の大家族というものが現代では珍しくなっていて、多くの人にとってはそのほうが「仮想空間」と呼ぶべきものかもしれないという皮肉も含まれているような気がします。(考えすぎ?)

しかし、むずかしいことを考えずに思い切り楽しんで泣いて笑ってください!

2010年11月 5日 (金)

涼宮ハルヒの憤慨 (谷川 流)

「涼宮ハルヒ」シリーズ第8弾。表紙は長門有希です。今回は「編集長★一直線!」と「ワンダリング・シャドウ」の2本立てになっています。

「編集長★一直線!」では、生徒会長から「ながらく文芸部として活動していない。よって文芸部は休部。部室から出て行ってもらいたい」とイチャモンをつけられハルヒが(よろこんで?)受けて立ちます。SOS団まで部室を追い出されては困るので、文芸部として会誌を発行するためハルヒは腕章を「編集長」に変え、団員たちに原稿執筆を命じます。キョンのお題はなんと「恋愛小説」!

「そんなもの書けるか」と流していたキョンですが、古泉いわく、ハルヒはキョンの恋愛経験か恋愛観が知りたいのだといいます。それでやむなく「経験」を書いたのですが…。

第7弾「涼宮ハルヒの陰謀」にあった宝探しのオチなどを見ても、ハルヒとキョンはお互いが気になっているはずなのですが、そのことを意識することもなく、キョンの両目は毎日コスプレ朝比奈さんを追い、ふたりの関係が恋愛に発展する可能性は(いまのところ)皆無です。しかし、ふたりの取っ組み合いなんて痴話喧嘩にしか見えません。(苦笑)

「ワンダリング・シャドウ」は幽霊騒ぎ。よろこぶのはハルヒですが、活躍するのは長門です。犬たちが怖がって近づこうとしないエリアがあることがわかり、イノシシかクマの匂いでもするんじゃないかというとキョンが「この辺の山にイノシシはいても熊はいねえよ」。10月、北陸から関東、東北地方にかけて人里に熊が現れる騒ぎが続きました。夏の猛暑の影響で(熊のえさになる)どんぐりが少ないのだとか。今までいなかった場所にも熊は出るかもしれません。(ご用心)

今回ハルヒが「憤慨」したのは生徒会長に対して、でしょうね。涼宮ハルヒもいずれ高校を卒業し、いつかは結婚して母親になるのでしょうか。想像できん。あ、これは禁句だったかな。

2010年11月 3日 (水)

涼宮ハルヒの陰謀 (谷川 流)

第7弾は久々の長編。高一も残りわずかな2月、ハルヒの様子がどうもおかしいことに気づくキョン。おとなしすぎる。2月3日、節分の豆まきを終え、朝比奈さんが8日後の未来からやってきた。送り出したのはキョン自身で「どうすればいいかは向こうの俺に聞いてくれ」と言われたという。「は…?」

というわけで、その8日間をキョンといっしょに辿るわけですが、それにしてもハルヒの「陰謀」ってなんだろう? 今度はなにを企んでる?

タイムパラドクスはシリーズの初めから複線としてあって、キョンもあれこれ思案し、古泉も説明してくれるものの釈然としないし、突き詰めてはいけないような気がしてきます。(苦笑) 古泉が部室のホワイトボードに描いた図を見たハルヒが「何それ、ベルヌーイ曲線?」。これはベルヌーイの最速降下曲線のことでしょうか。「決まった二点の間を,始点から終点まで玉が一番速く転がることが出来るような曲線を求める」という問題を提起したのですが、これは古泉が描いた図とはちがうような…。ハルヒも「じゃないわね、どういう計算式がその図から成り立つの?」「ただのイタズラ書きですよ」。

豆まきの際の掛け声は「福は内」のみで「鬼は外」は禁句。なぜか。ハルヒいわく「あたしはね、『泣いた赤鬼』を読んで以来、鬼を見かけたら優しくしてあげようって心に決めてるのよ。もう、すっごい泣いたわ『泣いた赤鬼』。(後略)」 ものすごく良い話ですが、ものすごくひとりよがりでもあります。しかし(ハルヒに対して)「頭ごなしに言い聞かせたりしたら意地でも曲がらなくなるクロム族元素のような性格をあいつは持っているからな」。クロム族元素とは、クロム、モリブデン、タングステン、シーボーギウムの金属元素のこと。すごく固いという意味でしょう。

今回、表紙絵になっている朝比奈さんの登場頻度が高く、キョンはずっとハイテンション。ハルヒを差し置いて朝比奈さんに鼻の下伸ばしてていいの? SOS団の3人娘は校内でも屈指の美人のようですが「朝比奈さんのおっかなびっくり感は、長門の対応に慣れ親しむ指針として、太陽系からバーナード星系までへの距離が横たわっているようだ」。朝比奈さんがどれくらい長門を苦手かというと、約5.9光年の距離感があるそうです。相手が長門だけに、まさに宇宙的スケールです。

さて、涼宮ハルヒの「陰謀」とは何だったのでしょう。最後にわかりますので読んでのお楽しみ! 

2010年11月 1日 (月)

タラ・ダンカン ~ 幽霊たちの野望 (下) (ソフィー・オドゥワン・マミコニアン)

「タラ・ダンカン」シリーズ第7巻。幽霊たちをあの世に追い返すにはある装置が必要なことを突き止めたタラは、ライバルのアンジェリカ、謎の青年シルヴェールと3人で、恐ろしいエドラカン族の国へ向かいます。シルヴェールはタラに忠実なのですが、どうも得たいが知れずアブナイ感じ。一体彼は何者なのかが最後の最後に明らかになります。(きっとビックリしますよ!)

その幽霊撃退装置のことをマジスターも知って、タラに奪われてはいけないと悪魔クゾアラに「タラを見つけ出して殺すのだ。静かに、すばやく、不意をついて」と命じます。が、悪魔に比喩や冗談は通じません。

「なぜ静かに殺すんです?」
「なんだって?」
(中略)
「おまえがそうしたいのなら、静かに殺さなくてもかまわんぞ」
「べつにそうしたわけじゃ……」
「ええい、だまらんか! おまえがそう望むなら、盛大な音を立ててもかまわん。ラッパを鳴りひびかせ、花火を打ち上げ、雷をゴロゴロとどろかせてもいいんだぞ」

そしてタラたちが、音を立てると殺人波動を起こす花に囲まれ、動くに動けず絶体絶命のピンチに陥っていたとき、突如ラッパが鳴りひびき、花火が飛び交い、雷がとどろいたと思ったらクゾアラが空中に現われ、つぎの瞬間、花の起こした波動で飛び散ってしまったのです。タラたちは何が起きたのかわからずキョトン。悪魔も悪魔ですがマジスターも抜けてます。シリアスパートの合間にギャグパートが挿入されていて独特のリズムを刻んでいます。

いくら魔法の世界でも死者が生き返ったりしたら大混乱というか「何でもアリ」になってしまって面白くありません。制約や限界があるから面白いのです。タラも父親を生き返らせることに失敗したわけですが、父親の幽霊に会って話ができるわけですから「何でもアリ」と紙一重のきわどい状態です。そんなとんでもワールドで、とんでもパワーを与えられたタラは、みんなが平和に暮らせる世界にしたいと願いながら周囲がそれを許してくれないからドタバタが続いているわけです。

全10巻完結ということですからあと3巻。3年ですか…。文字通り待ち遠しいです。

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