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2010年10月 4日 (月)

重力ピエロ (伊坂 幸太郎)

両親とひとり息子の3人家族を強姦魔が襲い母親が妊娠。父親は自分の子として育てることを決意し、兄弟は育っていきました。DNA(遺伝子)関連企業に勤める長男 泉水と、落書き(グラフィティアート)を消す仕事をしている次男 春。出生の秘密は兄弟も承知しています。重い過去を背負った小説はともすると暗くなりがちですが、それをあえて「本当に深刻なことは、陽気に伝えるべきなんだよ」と春に言わせます。

これは落書きと放火と遺伝子の物語です。連続放火事件に興味をもった兄弟は、落書きと放火に関連があることに気付きます。そして、さらに遺伝子にも関わっていることがわかるのです。父親が異なる兄弟にとっても遺伝子は大きな問題です。癌の手術のために入院している父親も放火事件の謎解きに興味を持ち、親子それぞれでの調査が続きます。

なぜ「重力ピエロ」なのか。「陽気に伝えるべき」だからピエロであり、空中ブランコを飛ぶピエロにとって「重力は消えるんだ」。それが冒頭「春が二階から落ちてきた」とかかっています。重力を跳び越え、遺伝子も飛び越えてしまう家族。それでも、生と性は分かち難い現実。

もしこれが裁判になって、その裁判員に選ばれたならどう裁くか…考え込んでしまいました。

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