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2010年7月16日 (金)

有頂天家族 (森見 登美彦)

糺ノ森に住む狸の名門・下鴨家の父・総一郎はある日、鍋にされ、あっけなくこの世を去ってしまった。遺されたのは母と頼りない四兄弟。長兄・矢一郎は生真面目だが土壇場に弱く、次兄・矢二郎は蛙になって井戸暮らし。三男・矢三郎は面白主義がいきすぎて周囲を困らせ、末弟・矢四郎は化けてもつい尻尾を出す未熟者。この四兄弟が一族の誇りを取り戻すべく、ある時は「腐れ大学生」ある時は「虎」に化けて京都の街を駆け回るも、そこにはいつも邪魔者が…。

かねてより犬猿の仲の狸、宿敵・夷川家の阿呆兄弟・金閣&銀閣、人間に恋をして能力を奪われ落ちぶれた天狗・赤玉先生、天狗を袖にし空を自在に飛び回る美女・弁天。狸と天狗と人間が入り乱れて巻き起こす三つ巴の化かし合いが今日も始まった。

「夜は短し歩けよ乙女」とほぼ同じ舞台、京都に住まう狸と天狗と弁天の巻き起こす騒動の物語。父の総一郎が捕まって狸鍋にされてしまったのは、その夜いっしょに飲んだくれた挙句に父を置き去りにした次兄が自分のせいだと思い、井戸に篭ってしまったのですが、最後に意外な真実が明らかになります。

なかに、こんな言葉遊びもあります。

「寿老人ってどんな人です?」
「彼はアイスだね」
「アイス?」
「氷菓子なのよ」と言って弁天が笑った。
「かき氷屋さんですか」
「高利貸しだね」

「わたしは父のことを考えているのです」
「乳? 何をたわけたことを」
「先生、乳ではなく、父であります」

また、手土産に出町ふたばの豆餅を買っていくという話がありますが、時間帯によっては店の前に行列ができるから買うのも大変だろうなと余計な心配をしてしまいます。というように京都の町になじみのある方は一層楽しめるかと思います。

狸たちの家族愛とささやかな矜持を面白おかしく、しんみりと描いた物語です。

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