« ノーチラス号の冒険 4 ~ 恐竜の谷 (ヴォルフガンク・ホールバイン) | トップページ | 武士道エイティーン (誉田 哲也) »

2010年7月 1日 (木)

武士道セブンティーン (誉田 哲也)

早苗は香織に「剣道やめちゃうかも」と嘘をつき、転居先も告げずに福岡へ向かった。一方、香織は自分だけが勝つことから、部として勝つことに心を砕くようになる。ふたりが求める武士道が見えてきた…。「武士道シックスティーン」につづく第2弾。

早苗が転校した福岡南の剣道部は練習方法から考え方まで異なっていました。香織に2回勝ったことを知ると早苗は試合の補欠に選ばれ、結果的に試合に出ることになる。すこしずつ周囲に認められるのはうれしいけれど「福岡南の剣道」には馴染めず、早苗は孤独を深めていきます。ついに我慢できず香織に電話して…。

剣道とはなにか、という話。

まず、香織の父親の言葉です――。

「ごく大雑把にいえば、お前の剣道は武士というより武者のそれに近い。早苗くんの方向性の方が、武士的というか、我々のような世代の剣道家には趣があって受け入れやすい」
(中略)
「武者の生業は戦うこと。武士の生業は、戦いを収めることだ」
「武士は戦わなくていいの」
「武士も戦う。だがその最終目的が違う。武士ならば、いくつ勝ったかより、一つひとつの戦いをどう収めたかを重視する。そういうことだ」

もうひとつ、福岡南剣道部の変わり者の顧問の言葉――。

「試しにいつもの剣道を、木刀でやってみればよか。メンも、ドウもコテも、どこを叩いても、まず相手は死んだりせん。その代わり、一発で、戦闘能力ば奪える。…頭蓋骨が割れる。手首の骨が折れる。肋骨が折れる。そげな状態で、続けて戦えるとか? 戦えんばい。戦ったところで、怪我がひどくなるだけたい。ばってんそれこそが、武道の目的たい。武士道の、本懐たい」

「剣道は、どこまでいっても…路上でやっても、防具がなくても、心に武士道があれば、武道たい。暴力に成り下がってもいけんし、暴力に屈してもいけん。剣道は、武道は、武士道は、相手の戦闘能力ば奪い、戦いを収める。そこが終着点たい。相手の命も、自分の命と等しい、たった一つの命…。さらにいえば、試合や稽古で相手をしてくれるのは敵ではなか。常に、同じ道ば歩む、同志たい。やけん礼に始まり、礼に終わる。そういうこったい」

早苗と香織の成長が頼もしくもあり、眩しくもある、好著です。

« ノーチラス号の冒険 4 ~ 恐竜の谷 (ヴォルフガンク・ホールバイン) | トップページ | 武士道エイティーン (誉田 哲也) »

現代小説」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1887876/51226866

この記事へのトラックバック一覧です: 武士道セブンティーン (誉田 哲也):

« ノーチラス号の冒険 4 ~ 恐竜の谷 (ヴォルフガンク・ホールバイン) | トップページ | 武士道エイティーン (誉田 哲也) »